研究代表者(イアン・カラザース)は、これまで鈴木忠志をはじめとする1970年代以降の日本の前衛演劇を、それらの演劇に見られる伝統演劇の要素に注目して研究を行うなど、日本の伝統演劇にとくに関心を払い研究してきた。そこで平成19年度は、鈴木忠志の俳優養成法である鈴木メソッドを用い、茨城県つくば市に拠点をおき活動している劇団「百景社」の協力を仰ぎフィールド・ワークを行った。具体的には、9月の公演に向けての劇団の練習法・リハーサル等を実際に稽古場に赴き、記録するとともに、それぞれの劇団員、スタッフにインタヴューを行い、公演までの軌跡を追った。 さらに、筑波大学の大学院生らとともにそのときの公演『人形の家』を分析し、報告書としてまとめた。(A Hundred Views: Ibsen's A Doll's House) 加えて、研究分担者(南隆太)とともに、日本10月に開催された日本シェイクスピア学会において、"Opening up Dialogues on Shakespeares in Asia: Towards a Comparative Study of Shakespeare Performance in Asia"というタイトルで、セミナーを行い、アジアにおけるヨーロッパ演劇の諸相についての研究報告を行った。
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