研究概要 |
本研究は、日本近代化の過程において東北地方がどのように西洋文化と向き合ったかを、キリスト教宣教師の活動を中心に考察しようとするものである。 平成18年度は、従来の研究の継続が中心であり、主に津軽地方を中心として、メソジスト派の婦人宣教師の活動および津軽地方におけるその影響力を、弘前女学校の史料を中心に収集、解読、考察を行った。さらに、当初の計画にはなかったが、卒業論文執筆者の一人が卒業後知内の小学校の教師を務めていたことが調査の結果わかり、卒業後の社会的活動の追跡調査も行った。以上の資料収集及び解読から、明治20年代から30年代にかけての津軽地方におけるメソジスト派女性宣教師の影響力についての考察をまとめ、「「明治三二年弘前女学校卒業論文集」と津軽の女子教育」として発表した。(『年報日本思想史』第6号、東北大学大学院文学研究科、2007、pp12-24) また、メソジスト派の宣教師文書3点[(1)Japanese Missionary Files : Methodist Episcopal Church Board Correspondence, 1884-1915、(2)Japanese Missionary Files : Methodist Episcopal Church Missionary Correspondence, 1846-1912、(3)Methodist Episcopal Church. Woman's Foreign Missionary Society. Annual Reports, 1877/78-1918]を購入し、解読をおこなった(現在継続中)。当初、東北地方全体への宣教師活動の影響を考えるためこれらのマイクロを購入し、マイクロリーダーで解読する予定だったが、実際にマイクロを検討した結果、画像処理の効率を考え、マイクロリーダーを使用するのではなく、マイクロフィルム自体をDVDの画像として処理したほうがよいと判断し、現在その整理解読にあたっている。これは、量的にも膨大であるため、19年度に整理しえた部分を調査報告の形でまとめたいと考えている。
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