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2008 年度 実績報告書

帝国日本の阿片と麻薬

研究課題

研究課題/領域番号 18520522
研究機関大阪産業大学

研究代表者

桂川 光正  大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (30177422)

キーワード阿片 / 麻薬 / 帝国
研究概要

まず、関東州阿片令の制定過程について検討した。これは、「公式」「非公式」両帝国における阿片麻薬政策の解明という研究目的の主要部分である、関東州阿片制度に関する研究の一部である。この課題の検討に際しては、単に制度制定過程を追うのではなく、日本側による現地中国人商人及び彼らのネットワークの取り込みの試みとして捉えようとした。この観点から見てみた結果、1915年に大連宏済善堂に阿片専売権を与えたことが、例えば山田豪一が『満洲国の阿片制度』で述べているのとは全く異なる、極めて大きな意味を持つのではないか、また、関東州阿片令制定も、この団体との関連の中で考察しないとその意味が理解できないのではないかとの見通しを得るに至った。そして、現在、このような見通しの下に、同令の制定過程について考察し直している。
第二に、原内閣が関東州と青島における阿片制度を撤廃しようとしたことについて検討した結果、概略以下のような見通しを得た。「第一次大戦後1920年代前半までの時期の国際社会では、禁煙政策の実施が、以前よりもはるかに政治的意義・重みを持つようになっていた。こうした変化を背景として、イギリスの中国政策は、中国での禁煙実現の支援という課題との関わりで手直しされつつあったと見ることができる。また中国は、国際社会や英国などにおけるこうした変化の中で、阿片麻薬問題ないし自国の禁煙問題を、自分たちの国際的地位の改善・回復の材料ないし手掛かりとして積極的に利用しようとしていた。一方、日本はというと、こうした変化を極めて不十分にしか認識できなかったと見ることができる。1920年代を通して日本が阿片問題で国際的バッシングを受けたのは、こうした出遅れによるものだったと考えられる。」なお、この考察は、原内閣の外交が「新外交」であったのか「旧外交」であったのかという論争に対して、有益な材料を提供することにもなるだろう。

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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