本研究課題に当たる最終年度は、ほぼ計画通り、日本農村における社会状況と文化動態に関わる先行研究の文献を購入、精読しながら、夏季に初めて北海道十勝地域の農場と阿寒湖のアイヌ部落、冬季に兵庫県の赤穂市と愛知県の吉良町を調査し、また春季にかつて調査した中国湖北省の農村地域などで追跡調査を実施した。フィールド調査において、現地の政府役人及び村人から理解と協力を得て、特に村人の生産活動や家族・親族関係、婚姻形態、人生儀礼、年中行事及び外部社会との社会的・経済的・政治的な諸関係などについて、参与観察を行ないつつ聞き取り調査により多くの具体的な資料を収集することができた。これらの資料が先行研究や目中社会との比較研究などにおいて、どのような学術的な位置づけや意味をもつのかについては、現在詳しく分析中で、近いうちにその成果を学術誌に発表する予定である。 また、本年度は、日本の北海道大学や愛知大学及び中国の北京大学などで開かれた研究会で口頭発表を行い、学会誌や研究者編集の論文集などに投稿した。2008年4月から2009年3月まで合計2本の論考がすでに刊行されている。 今後、2009年7月に中国の昆明市で開かれる国際民族学と人類学連合大会で日本と中国の農村社会及び文化変化に関する比較研究を口頭発表し、専門雑誌などにも積極的に投稿する予定である。
|