研究概要 |
本研究は,資産分布の決定要因として,i)予算制約とは独立に働く所得制約,ii)不確実性の下での過少な投資,この二つの仮説について,理論モデルに基づきながら,日本のデータを用いて実証的に分析する. 1.人的資本への教育投資について (1)親の経済状態が子の教育投資に所得制約として働いているのか,あるいは子の人的資本としての不確実性が過少な教育投資をもたらしているのかについて,Dynamic Discrete Decision Modelに基づいて,財団法人家計経済研究所の「消費生活に関するパネル調査」の個票データを用いて実証的に分析する. (2)当該データの利用申請を行い,2007年3月に許可が下りたところである. 2.家計の金融資産選択について (1)家計の貯蓄行動に関する借入制約および予備的貯蓄動機の動学的理論モデルにSimulated Method of Momentsの手法を適用し,「消費生活に関するパネル調査」の個票データ,あるいは日本経済新聞社の「金融行動調査」(RADAR)のデータを用いて,実証分析を行う. (2)後者のデータの購入を昨年度行い,現在,分析に取り掛かっている. 3.企業の設備投資について (1)日本政策投資銀行の「企業財務データバンク」の上場企業の財務データを用いて,企業の設備投資に関する借入制約および不可逆性の二つの仮説につき,Simulated Method of Momentsの手法を適用する. (2)当該データ・セットは,既に整えられた.
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