日経メディカル出版に掲載された「収益管理からコスト管理へ」は同井の第5章である。本章は現在の病院の経営管理は収益管理からコスト管理へ変遷しており、その中で原価計算が果たす役割について述べている。まず、伝統的原価計算に基づいた原価管理としては診療科別原価計算と疾患別原価計算を説明している。これらは間接費配賦という点において問題点を内包している。この問題を解決しているのが活動基準原価計算である。これらの内容を平成16年、17年、そして18年に行った調査に基づきながら説明している。 なお、平成21年2月から3月にかけて病院のマネジメントについての調査を実施し、現在そのまとめをしている。この調査はこれまで3回の調査に比較して次の特徴を持っている。すなわち、これまでの調査に加えて経営状況についての項目を付け加えたこと、並びにBSCと原価計算に関してより詳細な質問を追加したことである。このような調査を実施することによって経営状況とBSCや原価計算との関連性が明らかになるのではないかと期待している。さらに、加速度的に利用が拡大しているBSCでは、病院内で従業員の満足度の観点から問題が生じているケースが多いが、それに関連する調査も実施している。 また、原価計算については調査を開始した平成16年度からの推移を見てもBSCほど飛躍的に利用度が増加していないが、その原因園を推定できるような調査を実施している。また、原価計算が看護配置7対1やDPCの採用との関連で利用されたかどうかも調査している。
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