研究概要 |
軽度発達障害についての乳幼児健診でのスクリーニングのあり方および取り組みの実態について、研究報告およびインターネット上で公開されている情報を用いて概観した(中田)。従来の1歳半健診および3歳児健診のほかに、5歳児を対象とした幼児健診が各地の自治体で検討されていた。2003年度から行われてきた特別支援教育モデル事業の展開に伴い、就学前の軽度発達障害の発見と介入は、個々の障害あるいは問題となる行動上のあらわれについて検討されていた。しかし軽度発達障害のスクリーニングや、それに続く各種の軽度発達障害の精査・評価、および支援については、科学的検証が十分ではない。 研究協力者の天野は、学習障害のリスクのある幼児を発見するスクリーニング法を開発している。これは5歳児を対象にしたもので、読み書き、数概念、言語調整機能を用いる検査からなるものである。これに加え、注意欠陥・多動性障害(AD/HD)を標的にしたテストバッテリーを開発した。親および幼稚園の教諭・保育士が記入する行動評価尺度(上林)、コンピューターを用いた持続的注意課題(CPT)と,体の動きを定量的に評価するアクティグラフ(緑川),筆記式の注意テスト(天野)からなる。行動評価尺度は一般幼児と臨床例における評価用いて、これらの信頼性と妥当性を検討した。幼児用CPT、アクテイグラフによる測定は全ての幼児で実施可能であることが確認されるとともに,CPTとアクティグラフの同時計測が可能であることが検証された. 続いて、就学後の学習困難や不適応行動を予防することを目的とした就学前トレーニングを企画した。日野市内の年中組に在籍する幼児を対象に、参加希望者を募集し、30名の申し込みがあった。2007年1月下旬より第一次スクリーニング調査を開始し、三次にわたる発達調査を行い,トレーニング対象児を抽出した。
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