本研究の4つの課題について、以下の成果を得た。 1.行動評価については、ADHDに焦点を当て、CBCL1/2-5(親が評価)およびC-TRF(保育士、教諭が評価)による評価を、非臨床例と比較した。その結果以下の結果を得た。(1)臨床群の評価は全領域にわたり高い。(2)CBCL1/2-5とC-TRFの評価は独立の指標と見なすことができる。(3)注意の問題、攻撃的行動の2下位尺度を用いて、ADHD群と非臨床群を弁別するカットオフ値を求めた。この評価尺度は幼児のADHDの評価に有用である。 2.CPTおよびアクティグラフの記録を分析した結果、幼児期の注意の問題、活動量を測定する道具として有用であることを確認できた。 3.就学準備性形成のための指導訓練を受けた行動上の問題をもつ子どもの、小学校入学後の学習と学校適応について追跡調査を行った。結果は、行動上の問題は存続しているものがあったが、学習到達テストは基準値を超えていた。就学準備性形成プログラムは、行動上の問題のある子どもにも有効であること示された。 4.乳幼児期の発達に関する地域保健活動に関する発達障害の発見指導における専門家の役割を実践的な記録をもとに検討した。多面的、縦断的、包括的評価と、関係者間の情報共有の意義を提言した。
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