戦後北海道をフィールドとして、市町村立高等学校が北海道立高等学校に移管される過程を主として北海道議会議事録の分析により検討した。北海道では120校近くの市町村立高校が1960年代を中心に道立へと移管されている。道議会議事録の発言からは、市町村が当初から移管を前提に高等学校を自前で開設し、道は施設設備が完備された段階でその寄付を認めることで、完成度の高い高等学校を初期費用なしに取得することが可能であったという側面がうかがわれる。このように実質的に道立学校の新築費用を市町村に肩代わりさせる道立高校整備方法は戦前における庁立中等学校のそれと連続したものであったこと、その背景に地域住民の道立志向(=戦前における庁立志向)が存在していたことを明らかにした。
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