本研究は、次の4つの研究領域によって構成した。すなわち、1.AO入試合格者の受験情報収集行動に関する研究、2.AO入試志望理由書の表現の研究、3.接続場面における不安の表出の研究、4.大学初年次の「国語力」についての研究、である。以下、4領域のそれぞれについて研究実績の概要を述べる。 領域1については、国立T大学平成19年度AO入試合格者に対する質問紙調査を実施、解答を分析した。これによって、出願までのどの時点で、どのような情報媒体を利用したコミュニケーション行動がなされているのか、また、出願に最も影響を与えるのはどのような相手との伝え合いかなど、その実態を解明した。 領域2については、国立T大学平成19年度AO入試合格者の志望理由書を対象として、どのような構成要素が、どのような順序で出現するのかを、調査・分析した。この調査の結果をもとに、平成19年6月の全国大学入学者選抜研究連絡協議会において研究発表を行った。 領域3については、国立T大学AO入学者に対する継続的な意識調査の結果をもとに、入学前教育を求める声として語られた「不安」について、その表出のあり方を調査・分析した。また、この調査を補うものとして、論文「アドミッションポリシーに応じた入学前教育の試行」を執筆した。また、この調査結果を補強する目的で、全国の高校進路指導担当教諭に対する意識調査を実施した。 領域4については、国立T大学の初年次生に対して、語彙力の実態を明らかにするための調査を実施し、結果の分析を行った。
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