研究概要 |
本研究の目的は,ニュージーランドと日本の社会科の基礎・基本を比較し,それを踏まえて日本の社会科に提言していくごとである。そのため,本年度は,前々年度および前年度の研究成果を踏まえ,チュニジアでの地理学(地理教育)国際大会および台湾での地理教育の国際大会で,ニュージーランドなどとの比較を意識しながら,日本の社会科,特に地理教育における価値判断や意志決定の学習プロセスについて発表した。国際大会では,ニュージーランドの地理教育者もおり,研究成果について意見交換,情報の交換をすることができた。これらの研究成果を踏まえて,地図などの基礎・基本を踏まえた実践研究としての成果もあり,公表することができた。他方,国際学会での発表後の議論では、基礎・基本を教授する教師のトレーニングが重要であることが確認できた。日本では教員免許更新制度がはじまり,このような講習の中で社会科の基礎・基本を高めていくことが可能であるとの指摘をしたが,ニュージーランドでは教員の組合が強く,教員が過度の負担となるような制度は,組合の反対でできないとのことであった。知識としての「基礎・基本」ではなく,スキルとしての「基礎・基本」の概念はニュージーランドが先をいっているがごそれを広める講習制度は日本のほうが先んじているといえる。こうしたスキルの「基礎・基本」の子どもたちへの普及は、ニュージーランドでも力をいれている,国際的なコンテストである地理オリンピックなどが効果的であることが,ニュージーランドでの調査で明らかとなった。
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