安定圏を扱う際に、ホモトピー圏の三角構造を用いるという立場から、射影加群の鎖複体からなるホモトピー圏についての研究が中心となった。その成果は3方向に大別できる。第一に、ホモトピー圏の部分圏の構造を研究し、極めて強い対称性を呈する捩れ対の組の存在を示し、新たな三角同値を得た。第二に、安定圏と三角圏の差を研究し、射の単射表現性が三角圏への障碍になることに着目して、射の単射表現性の必要十分条件を得た。第3に、正余次元加群のシジジー同値類に関する研究では、環が整域であることは、すべての加群が正余次元加群と1階シジジー同値になるための必要十分条件であることを得た。
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