研究概要 |
研究代表者の青木は,有限体上定義されたフェルマー曲線の合同ゼータ関数を具体的に調べるためにヤコビ和およびガウス和について研究を行った。具体的には,標数がpの有限体上のガウス和で位数がmの指標からつくられるものを考え,その中で特に何乗かすると実数になる,純ガウス和と呼ばれるものを与えるpとmの数論的な性質を研究し,それらを決定した。それを実行するためにはある種のディオファンタス方程式が解を持たない条件を完全に決定する必要があった。これに関しては,既に弱い形の結果が知られていたが,青木はそれを符号条件を込めた強い形の場合に,そのディオファンタス方程式の非か解性について研究した。これについては2007年度の論文においてその研究成果を発表した。更にその結果を元に純ガウス和を与えるmとpの組をすべて決定することに成功した。これを元にいくつかの重要なクラスのフェルマー曲線の合同ゼータ関数を決定することが可能になる。一方,研究分担者の藤井は,ディオファンタス近似の問題の解明を目的にして,1920年代にヘッケにより導入されたゼータ関数に関連する問題について研究を行った。ヘッケのゼータ関数が,ある種の二次無理数に対応する場合にはその解析接続が証明されていたが,藤井はこのヘッケゼータ関数をディリクレ指標つきのL-関数に拡張し一般の無理数に対してもその解析的性質の一部を解明した。その応用として分母を算術級数中に限定したときのファレイ数列の分布の一様性に関してDiscrepancy評価を与えた。
|