新國亮氏(金沢大学)との共同研究において以下を示した。Kirk-LivingstonやKidwellにより、2成分絡み目が成分保存アキラルや成分交換アキラルになるための絡み数に関する必要条件がそれぞれ知られていたが、任意の4の倍数4nに対して絡み数が4nであるような成分交換アキラルな2成分絡み目が存在するかどうかは分かっていなかった。今回具体例を示すことにより、そのような2成分絡み目が存在することを示した。空間グラフの空間グラフホモロジー分類においては2成分絡み目と空間完全5頂点グラフと空間完全2部3+3頂点グラフが基本的な役割を果たすことが分かっている。また、これらのSimon不変量は2成分絡み目の絡み数に相当する基本的な不変量であることも知られている。そこで空間完全5頂点グラフと空間完全2部3+3頂点グラフの各種空間対称性が実現されるためのSimon不変量に関する必要条件を最良の形で求めた。すなわち、必要条件を満たす対称埋め込みが存在することを具体例をもって示した。 菅野顕氏(早稲田大学)との共同研究において以下を示した。有向空間グラフのブレイド表示を定義し、任意の有向空間グラフはブレイド表示を持つことを示した。空間グラフの射影図を使って有向空間グラフのザイフェルト数を定義し、有向抽象グラフの任意の空間埋め込みのザイフェルト数が1になるための必要十分条件はその有向抽象グラフに入次数と出次数の等しくない頂点が存在することであることを示した。
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