研究概要 |
力学系の記述には, その性格を反映した適切な理論体系が存在しているように思われる. 我々の対象が巨視的な力学系から微視的力学系へと移行していった歴史的経緯を反映して基本的理論体系も精密化していったが, その移行は必ずしも滑らかなものではなくある種の不連続性を持って前者を後者が塗り替えていった感がある. 一方で,それぞれの理論体系の有効性は, 限られた物理系においては依然として保持されており, 力学系の階層性はそこで有効な理論体系に反映されているとみることが出来る. この研究の全体構想はこのような階層性の理解を, 個々の具体的物理過程でのダイナミクスをより実際の状況に即した形で考察し, その中から異なる階層間を結びつける鍵となる概念を抽出しようというものであるが, 中でも環境系の影響下での微視系のダイナミクスならびに場の量子論と量子力学といった側面を通しての理解を中心的課題としている.
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