本年度は、周期分極反転(Periodically-poled)構造により擬似位相整合を実現したニオブ酸リチウム(LiNbO_3)非線形導波路(PPLN導波路)を用いて和周波発生(SFG)の静特性の実験を行った。DFB-LDからの波長1.5556μmの単一波長信号光とFiber-Bragg-Grating(FBG)外部鏡LDからの波長0.9765μmのポンプ光を長さ38mmのPPLN導波路に入射し、SFG過程により波長0.599μm(橙色)の和周波光が高効率で発生することを確かめた。PPLN導波路の温度を68℃付近で精密に制御することにより擬似位相整合を実現し、この条件下で信号光入力パワー2.1mW、ポンプ光入力パワー36mWに対して2mWの和周波光パワーを発生することに成功した。この時の波長変換効率は約2600%/Wと非常に高効率であり、理論値ともほぼ対応が取れている。また、信号光パワーが一定の条件下では、ポンプ光パワーの増減に比例して和周波光パワーが変化すること、また、波長変換過程で減少した信号光およびポンプ光のパワーの精密測定から信号光光子1個とポンプ光光子1個から和周波光光子1個が発生していることを実験的に確かめた(ロックインアンプを使用)。ポンプ光源として使用したFBG-LDは単一縦モード発振と縦多モード発振を交互に繰返したため、厳密な雑音測定には至らなかったが、ポンプ光が多モードで発振している場合には和周波光のスペクトルも多モードとなることをRFスペクトルアナライザーを用いた雑音測定から確かめており、和周波光発生では入力2光波のスペクトルの積が和周波光にトランスファーされることを明らかにした。 次年度は、単一モード発振で動作するポンプ光源を使用すると共に、SFGに加えて第二高調波発生(SHG)用のPPLN導波路を用いた実験も開始し、両者の雑音特性の差を検証する。
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