動物におけるGDEファミリーをヒトゲノムよりバーチャルに探索した結果、新規GDE遺伝子としてGDE7を同定した。GDE7はGDE1やGDE4と同様に2回膜貫通領域を有し、アミノ酸配列による進化系統樹解析においても、GDE1やGDE4と近縁に位置していた。また、GDE7は皮膚組織において豊富に発現していること、また、ヒト皮膚表皮細胞の分化過程において一過性に発現することが確認され、皮膚表皮細胞の脂肪酸代謝や物質透過性などに関与する可能性が示唆された。 また、グリコーゲン結合領域を有し、唯一の可溶性型GDEであるGDE5は骨格筋疾患の発症に関与するとの仮説を立て、GDE5の骨格筋特異的な過剰発現を目的としたトランスジェニックマウスの作製に着手し、骨格筋特異的なGDE5過剰発現マウスを樹立した。骨格筋特異的GDE5過剰発現マウス(GDE5Tg)は、大腿筋などの速筋型の筋萎縮像を呈し、速筋型の筋線維タンパク質のmRNAの発現が低下していた。また、高脂肪食下のインスリン抵抗性の発症には影響しない点も速筋型病変であることが示唆された。さらに、DNAマイクロアレイ解析によってGDE5Tgの骨格筋において発現変動している遺伝子の網羅的な探索を行った。その結果、ストレスマーカーとなる遺伝子の発現誘導が認められ、老化型筋萎縮と同様の形質を示していることが明らかとなった。同モデルは、筋萎縮の予防、または改善を指向した食環境や創薬のスクリーニングにも応用可能であると思われる。
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