研究概要 |
マツの健康度が樹冠DN値に与える輝度特性を明らかにするため, 高解像度衛星画像(IKONOS)を用いて樹冠抽出法の開発を行った。樹冠抽出処理の手順は, 元画像を三次元たたみ込み内挿法で処理し, 8bitの量子化画像を得た(解像度1m, 25cm, 10cm)。Watershedアルゴリズムでの樹冠抽出を円滑に行うために平滑化(Smooth_image法)と閾値処理(Selgct_gray法, Threshold法)を行い, 平滑化, 閾値処理のためのパラメータを決定し, アカマツ樹冠を抽出した。樹冠抽出に最適な画像を得るための, 解像度, 閾値処理アルゴリズム, 最適バンド数は, それぞれ(10cm), (Threshbld), (3バンド)だった。樹冠抽出精度評価を現地データとの重複率で評価した結果, 重複率は87%と良好な結果を得た。この結果, Watershedアルゴリズムで抽出された樹冠はアカマツマツの健康度を計測するための樹冠として用いることができると結論された。高解像度衛星により樹冠抽出を正確に行うためには, 正確な幾何補正を行うための精度の高いGCPデータを欠けないが, 森林内は測位精度の低下が問題となる。森林内でのGPS使用で生じるSNRの低下原因を解明したところ, SNRの低下に木材材料はほとんど影響しなかったが, 木材水分は顕著に影響した。2g/cm^2の水分抵抗量(Mw)がSNRを10dB以上低下させた。このMwはスギ樹幹で7cmの厚さに相当する。樹冠に遮られないい状態でのSNRは20dB以下なので, 10dBの低下はGPS信号の受信に重大な影響をもたらす。樹冠下でのSNRの低下原因は樹幹と樹冠の水分だが, シミュレーションによるとスギの場合, SNR低下の77.8%が樹幹,8.1%が枝,14.1%が針葉だった。
|