研究課題/領域番号 |
18580179
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
舞田 正志 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助教授 (60238839)
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研究分担者 |
延東 真 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (80128355)
片桐 孝之 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助手 (50361811)
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キーワード | 合成抗酸化剤 / エトキシキン / 免疫毒性 / リスク評価 |
研究概要 |
欧米では、合成抗酸化剤エトキシキン(EQ)が給与対象動物の健康に影響を与える可能性について再検討が行われており、その毒性如何によってはEQの飼料添加物としての使用制限が強化されることもあり得る。そこで、魚類におけるEQの吸収動態ならびにEQが魚類の生体防御能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 供試魚にティラピアを用い、鰾から採取した好中球を採取し終濃度0.1ppm〜10ppmのEQに2時間曝露し、貪食能及び活性酸素産生能の変化をそれぞれ測定した。続いて、150ppmのEQを含有する飼料を飽食給餌し、給餌後の血中EQ濃度を経時的に測定した。 生体内におけるEQの毒性を調べる為、飼育試験を行った。試験区は飼料中EQ濃度が2ppm以下の対照区と150ppm区の2区を設定した。飼育は1ヶ月行い、飼育2週間目及び1ヵ月後に以下の試験を行った。(1)貪食能試験:鰾へ遊走してきた好中球を用いた。(2)除菌能試験:全血とEdwardsiella tardaを2時間混合後TSA培地に塗沫し、生残菌数をカウントした。(3)胸腺・頭腎・脾臓・肝臓の病理組織検査ならびに血液生化学的を行った。(4)1x10^9細胞/mlに調整したE.tarda菌液を1尾あたり1ml腹腔内接種して感染実験を行った。 好中球へのEQ曝露によって、EQ濃度0.1ppm以上で濃度依存的に貪食能が有意に低下したが殺菌能には影響を及ぼさないことがわかった。また、EQを150ppm含む飼料を給餌すると、給餌後3時間で血中EQ濃度が最大0.15ppmにまで上昇し、給餌後少なくとも0.1ppm以上の血中濃度が維持されることが明らかとなった。EQ150ppm区では、好中球貪食能、除菌能に有意な低下が見られ、in vitroで認められたEQの免疫毒性はin vivoにおいても再現されることが確認された。また、飼育期間が長くなるほど肝細胞の濃縮核出現頻度が高くなり、肝細胞に対する毒性も認められた。血液生化学所見ならびに感染実験による死亡率には試験区間で有意差はなく、直ちに抗病性の低下をもたらすほどではないと考えられた。
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