研究課題
基盤研究(C)
欧米では、合成抗酸化剤エトキシキン(EQ)が給与対象動物の健康に影響を与える可能性について再検討が行われており、その毒性如何によってはEQの飼料添加物としての使用制限が強化されることもあり得る。そこで、魚類におけるEQの吸収動態ならびにEQが魚類の生体防御能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。EQを150ppm含む飼料を給餌すると、給餌後3時間で血中EQ濃度が最大0.15ppmにまで上昇し、給餌後少なくとも0.lppm以上の血中濃度が維持されることが明らかとなった。EQ150ppm区では、好中球貪食能、除菌能に有意な低下が見られ、in vitroで認められたEQの免疫毒性はin vivoにおいても再現されることが確認された。また、飼育期間が長くなるほど肝細胞の濃縮核出現頻度が高くなり、肝細胞に対する毒性も認められた。血液生化学所見ならびに感染実験による死亡率には試験区間で有意差はなく、直ちに抗病性の低下をもたらすほどではないと考えられた。EQの分解物を含有する溶液に曝露した好中球の貪食率及び貪食指数は分解物を含まないEQに曝露した区と同程度に低下し対照区とは有意な差があった。EQ分解物の毒性はEQと同程度であり、EQの毒性は曝露時の濃度ではなく、添加されているEQの総量に依存していた。以上の結果から、溶液中でEQ濃度が低下してもティラピア好中球に対する毒性は失われないということが明らかになった。フォトダイオードアレー検出器によって、他波長での分解物ピークの検索を行ったところ、280nmでのピークが検出されたが、分解物の定量までには至らなかった。
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