研究概要 |
本研究は、以下のように三つの部分から構成される。 1.分析手法の開発・改良(共通基礎課題) 2.分野別応用研究 2-A.米生産調整政策(応用その1、発展・拡張応用課題) 2-B.食品安全政策(応用その2、展開応用課題) 2-C.経営・構造政策(応用その3、新規応用課題) 3.官僚主導型農政から政治主導型農政への制度設計(全体設計課題) このうち、本年度は、研究初年度であり、1及び2-A, Bの課題に取り組んだ。 「1.分析手法の開発・改良」については、行動分析の対象となる政治アクターのうち、利益集団と官僚の行動分析モデルの構築に精力を注ぎ、この分野で研究が進んでいるアメリカ・メリーランド大学に6ヶ月間滞在し、公共選択論の枠内に留まらず、広く政治学の政治過程論全般や、更に学際的領域の学術誌(例えば、Journal of Law and Economics, Economics and Politics等)の文献渉猟を行うとともに、投票理論に関して先駆的研究を行っている同大学経済学部のCoughlin氏を訪問した。また、農政の厚生分析で業績のある同大学農学部のGardner氏を訪問し、意見交換を行い、今後三ヵ年にわたり日米農政比較研究を共同研究の形で進めていくことについて了承された。これにより、本研究について、分析手法に関しては、継続的に同氏から指導助言が受けられる、という体制が整えられた。 「2-A.米生産調整政策」では、過去三十年にわたる都道府県の米生産調整行政、即ち都道府県から市町村への転作面積配分を初めとする、都道府県米生産調整政策の立案過程、執行過程の詳細を調査するため、都道府県の行政府に実際に足を運び、資料収集を行った。なお、当初予定していた県議会関係資料の収集は、次年度行うこととする。一方、当初は予定していなかったが、都道府県での調査の過程で、経営政策の一つである品目横断的経営安定対策に関する県段階での課題等についての知見が得られた。 「2-B.食品安全政策」では、アメリカ農業経済学会での発表の際に受けたコメントや、上記のGardner氏の指摘を踏まえつつ、モデルの再編成に取り組み、理論的研究に力点を置いた。なお、当初予定していた実証レベルの研究への展開は、次年度に本格的に行うこととした。
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