研究課題
基盤研究(C)
背景出生時に父親の年齢が高いほど自閉性障害の発症リスクが高くなるという報告が複数ある。これは、父親の遺伝子に突然変異が生じる可能性が年齢に伴って高くなることによるepigeneticな現象と考えられている。そこで、この現象が再現されるか否か、また、再現される場合、その関連が父親の自閉性障害への遺伝的傾向(autistic trait)で説明されるか否かについて、疫学的に検討した。方法84例の自閉性障害(総IQが70を下回らない「高機能自閉症」)および217例の定型発達の被検者について、母子手帳を収集し、被検者の出生時の両親の年齢および関連する情報を収集した。また自閉性障害の疑われる被検者については自閉症診断面接改訂版(ADI-R)を用いて診断を確定した。結果1.両親の年齢出生時の父親の年齢が28歳以下である被検者に比べて、父親が29〜32歳であると1.3倍(オッズ比)、33歳以上であると1.8倍、自閉性障害と診断されるリスクが高まった。これが母親の年齢、出生順位、性別などによって交絡されていると考え、これらを調整したところ、父親が29〜32歳であると2.3倍、33歳以上であると3.1倍、自閉性障害と診断されるリスクが高まった。母親の年齢に同様の関連はみられなかった。2.父親のautistic traitとの関連について84例の自閉性障害群について、面接にて父親のautistic trait、すなわち父親に自閉性障害の特徴が見られるか否かを検討したところ、父親に自閉性障害の特徴のある10例は、それを持たない74例と比較して、父親の出生時の年齢に差がなかった。また、両者に母親の年齢、出生順位、性別の頻度に差はなかった。結論父親の年齢が自閉性障害発症リスクに関連しており、これは父親の遺伝負因に伴う行動学的特徴では説明されなかった。次年度、中間表現型としての脳形態学的異常と父親の年齢とのあいだに関連があるかどうかについて検討を行う。
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すべて 雑誌論文 (6件)
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