研究概要 |
平成18年12月に15県立病院のうち同意を得た9病院,全職員,の2,182人に,質問紙「病院職員の職務満足および職場環境に関する意識調査」を配布した。 質問紙は,属性を除いた63項目を,研究分担者と支援者の6人で,KJ法を用いてカテゴリー化した。カテゴリー化した質問群の信頼性はCronbach α係数を算出し,0.6以上を採用した。その結果は9カテゴリーとなり,項目内容から,職務満足,上司との適切な関係,評価方法の明示,経営理念・方針,病院理念や目標の伝達,主体的な仕事を認める雰囲気,主体性ある仕事の取り組み,人と協働できる職場,経営理念を目指した仕事,と命名した。いずれも高得点ほど満足度や職場環境が良好であることを表す。 質問紙の回収数は1185人であり,有効回答は926人(有効回答率78.1%)だった。対象者の背景は女性742人(80.1%),平均年齢39.5(SD l0.6),平均勤務年数8.1(SD 8.0)であった。職種は9職種であり,看護師635人(68.6%)が最も高い割合であり,事務職80人(8.6%)が続いた。一般職が755人(85.7%),常勤は798人(86.2%),最終学歴は専門学校卒601人(65.5%)だった。 各カテゴリー間の相関関係は,r=.76〜r=.22の係数の範囲であり,正の相関があった(p<.001)。職務満足との各カテゴリーの関係では,上司との適切な関係(r=.65),経営理念・方針(r=.60),主体的な仕事を認める雰囲気(r=.60)であり,経営理念を目指した仕事と他のカテゴリー間では,経営理念・方針(r=.60),職務満足(p<.50),主体性ある仕事の取り組み(p<.52),とそれぞれが高い相関係数を示した。職務満足を独立変数にして,重回帰分析を行った。上司との適切な関係,評価方法の明示,経営理念・方針,病院理念や目標の伝達,経営理念を目指した仕事,人と協働できる職場が職務満足への正の影響要因であった。 本調査では,主な職種の回答は得られたが,女性が80.1%を占め,そのうち看護師が85.6%であったことは,看護師の回答が結果に反映されていると推察できる。しかし,病院経営をより豊かな経営に導く示唆は得られたといえる。
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