研究課題
「「ケア学」の構築に向けての実証的研究」を行うにあたって、初年度して、まずはケアに関する文献を収集し、そこでの考え方の違いや共通点を理解することとした。ケアに関する実証研究としては、以下の2つの研究を行った。第1の研究は、「ケア」というものをどのように捉えているのかの現状を理解するために、要介護高齢者に焦点をあてて、介護支援専門員と呼ばれるケアマネジャーを対象に、ケアを提供するホームヘルパーを利用する場合の利用者特性について調査研究を行った。研究方法としては、郵送調査で、量的分析を主とするものである。調査結果から、ホームヘルパーのケアを提供する揚合には、利用者の身体面だけでなく、心理面や社会面が関連していることが分かった。そのため、ケアには、利用者の身体・心理・社会的側面が関連しており、ケア学には、人々の身体・心理・社会的側面に関与する様々な研究が必要であることが分かった。第2の研究は、ケアの中でも、とりわけ医療との接点が強く、きわめて重要なケア場面である「ターミナルケア」での、介護支援専門員の業務内容の分析から、ケアの内容を分析することとした。研究方法としては、介護支援専門員からのターミナルケア業務についてのヒヤリングをもとに、質的分析を行ったものである。この研究からは、ターミナルケアでの介護支援専門員の役割として、「インテーク」、「自己決定支援」、「協働」、「変化への対応」、「物理的環境調整」、「ケア全体の評価」の6つの領域を明らかにした。そのため、ケアの実践やその分析には、ケアの支援過程なり支援構造を分析することが必要であり、その内容が一定理解された。以上の2つの研究で多くの知見を得ており、アジア・オセアニア老年学会で報告する予定である。同時に本研究を一層深めていくことで、ケアの構造や支援枠組・過程が明らかになり、ケア学構築に向けて研究が深めることにとなると考える
すべて 2006
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介護福祉学 Vol.13-1
ページ: 15-23
生活科学研究誌 Vol.4
ページ: 191-199
ケアマネジメント学 第5号
ページ: 56-64
ふれあいの輪 140号
ページ: 4-10