研究課題
ケア学を明らかにするため、3つの領域での研究を行った。第1の「介護支援専門員による家族介護者支援に関する研究」では、介護者のケア負担を軽減し、ケアの対する意義を見いだしていくことは、要介護者の在宅生活を継続していく上で極めて重要な課題であり、介護支援専門員が家族介護者に対してどのような支援を行っているのかに関する研究である。結果として、介護支援専門員は家族介護者に対して6つの支援内容(家族調整支援、情報提供支援、サービス提供、心理支援、教育的支援)に分かれることを明らかにした。第2の「中国の都市部における一人っ子の親世代の老後生活意識に関する研究」では、一人っ子政策をとっている中国の場合に、高齢者の目らのケアについての意識を、子どもをサポート源として期待することと、政府によるフォーマルケア、配偶者、親戚、近隣・友人、他のインフォーマルケアをサポート源として期待することとについて、手段サポートと情緒的サポートに分けて分析した。結果として、一般に、配偶者や子どもをソーシャルサポート源にする東洋の考え方が、依然として強いことが明らかになり、一人っ子政策が現実のソーシャルサポート授受に影響を与える可能性が示された。第3の「社会福祉施設入居高齢者によるサービス評価に関する研究」は、入所施設におけるケアの質について、利用者側がどのような視点で捉えているかを明らかにするものである。ケアに対する評価には、客観的な評価と利用者の満足度といった主観的な評価に分かれるが、今回は後者についての調査研究であり、特別養護老人ホーム入居者の施設サービス満足度について明らかにし、ひいては施設サービス満足度の評価基準を利用者の自己評価をもとに作成するものである。結果として、ケアの質を利用者が主観的に評価する枠組が明らかになり、ケア学構築の主要な知見を得ることができるものと期待できる。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
老年社会科学 Vol.29,No.1
ページ: 3-12
社会福祉学 Vol.47-No.4
ページ: 124-135
生活科学研究誌 Vol.5
ページ: 165-174