研究課題
本研究は、「地震と豪雪」の複合災害の中で、「冬に地震が発生」した際の雪崩災害危険度の評価手法を開発し、被害軽減に資することを目的とする。今年度は、4月にモスクワ大学を西村、和泉、阿部の3名が訪問し、Apatit雪崩研究所で実施されているアパタイト(リン鉱石)鉱山での大規摸な発破(地震)による雪崩データと研究成果をもとに、発破のエネルギー、振動特性、雪崩発生規模などの関係について議論を行った。また、地震時の積雪の破壊強度とその挙動を調べる目的で、防災科学研究所の雪氷防災実験棟において2種類の小型振動台を用いた積雪の破壊実験を実施した。振動台の一方はロシアの研究グループにより開発されたもので、テーブル(0.45mx0.35m)に積雪サンプルをセットし、3次元の「振動の有無による積雪せん断強度の相違」を求めるものである。実験にはロシアからもChernouss博士をはじめ2名の研究者が訪日し共同で実施された。もう一方の振動台は、防災科研の阿部により設計・製作が行われた。加速度計を埋め込んだ積雪ブロックを凍着させ、一定振幅のもとで2次元の振動数を増加し、積雪がせん断破壊した時点の加速度、上載荷重、断面積から「高歪速度領域の積雪破壊特性」が求められる。今回は両振動台を用いた測定手法を確立することを主な目的として、雪氷防災実験棟の降雪装置で作成された「新雪」、「しまり雪」、「しもざらめ雪」を用いた実験を行った。ロシアで開発された振動台を用いた一連の実験は、雪質を変化させる等の条件下で計100回以上実施され、データセットが集積された。振動条件下でのせん断応力の変化と振動台の振動波形を比較した結果、振動(y軸方向:1.6m/sec2)を加えることで積雪に作用する応力は最大30%まで増加し、積雪が破壊に至るプロセスが明らかになった。もう一方の振動台については、今回は、積雪サンプルをテーブルに凍着させた後にせん断強度を求めるまでの実験プロセスの確立に重点がおかれ、予備的な結果を数回得るにとどまった。
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(社)日本雪氷学会雪崩分科会レター 40
ページ: 7-9
http://env.sc.niigata-u.ac.jp/~knishi/index.html