本研究は、青少年が日常において接する機会が増え、生活面への影響力が著しく大きくなっている電子媒体メディアをめぐる諸問題を、とりわけドイツの事例を主たる研究対象に分析し、現代の青少年を取り巻くメディア環境が持つ危険性とその対策の在り方、ならびに諸問題を明らかにしようとしたものである。 本年度はまず、インターネットや携帯電話を介したメディアに潜む危険の実情とそれに対する対策を、ドイツのフィルタリング制度を中心に検証した。即ち、jugendschutz.netを例にその取り組みを探った。また、コンピュータを介したオンライン・ゲームならびに音楽・映像メディアに潜む危険性を、ラップ音楽やビデオクリップ、DVDなどを例に分析し、同時にその対策に関する事例を探った。 また、三年間にわたる本研究を締めくくるにあたり、これまで得られた有害メディアに関する状況とその対策に関するドイツの事例を、近隣の高校生を対象とした模擬授業において紹介し、議論を行った(2008年7月)。更に、ドイツ連邦青少年有害メディア審査機関副所長Petra Meier女史を招き、大学生や研究者、一般市民を対象に講演会を実施し、インターネットや音楽・映像手段(CD、DVD)を介した有害メディア事例とその対策に関して討論を行い(2008年12月)、本研究の成果を日本の青少年や研究者との直接対話や議論という形式で公開した。 本研究はドイツの事例を中心にしたものではあるぶ、それは同様な問題を抱える現代日本社会にとっても大きな意義を有するものである。
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