研究概要 |
MRI (Magnetic Resonance Imaging)を初め、多くの画像診断装置では、高分解能化・高速化を達成するために、重厚長大路線の研究開発に焦点が集められている。特にMRIにおいては、既に9.4Tの人体用システムが実現され、小型動物用ながら11.7Tシステムも開発されている。一方,最先端の診断装置が備えた機能をコンパクトにまとめた小型装置を構築し利用することで、簡便・迅速な初期診断・治療が可能になると考えられる。 このような背景の下、本萌芽研究では、画像診断装置の分野における次世代画像診断装置の基盤となり得る超小型化技術の基礎研究を目的としており、特に、ベッドサイド診断、あるいは、ネットワーク接続によるユビキタス診断を可能とする超小型MRI装置の実現を目指し、必要となる装置構成の検討、再構成アルゴリズムの提案を目的としている。 H18年度は、超小型MRI装置を実現する一つのアプローチとして、不均一静磁場、ならびに、変調高周波磁場を利用した被検体内部の画像化の可能性を明らかにするために、1.小型永久磁石を複数配置した場合に実現可能な静磁場分布を数値解析、ならびに、実測により確認し、2.これらの静磁場分布を考慮して画像シミュレーションを行うための解析ツールを構築し、画像再構成を試みた。その結果、磁気回路を構成するヨークを付さない構成でも、ネオジウム等の希土類磁石を複数配置することで、2次元平面内にMRI画像を再構成できる静磁場領域を確保できる可能性を確認した。しかし、画像歪、画像SNR、データ収集時間を考慮したパルスシーケンスの考案が必要であり、H19年度には、試作機を構築しつつ超小型MRI装置の可能性を追求する。
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