1. スウィープ波形を用いた弾性波減衰解析の高度化 これまでは、インパルス型波形を用いた減衰解析を適用してきたが、窓関数による波形切り出しに伴うspectral leakageの影響により、減衰解析結果が任意性を有する問題があった。そこで、spectral leakageの影響を補正することを試みるとともに、スウィープ波形を用いた減衰解析手法を考案し、その有効性を示すことができた。 2. 模擬メタンハイドレート試料の3相化 これまでは、塩水を凍結させることにより生成される固液共存系(2相)を実験試料として用いていた。現実の系により近づけるために、ガラスビーズを塩水に混入させたものを凍結した試料での超音波伝播実験を試みたが、減衰が激しく良好な記録取得ができなかった。そこで、アルミナセラミックスからなる多孔質媒体を塩水で飽和させたものを凍結させた試料での超音波伝播実験を実施し、P波ならびにS波の減衰解析を達成することができた。 3. 減衰現象を説明する岩石物理学モデルの構築 MRI測定により得られた固液共存系(塩水凍結)の固体・液体の空間分布を元に、波動伝播シミュレーションを実施することにより、散乱減衰を見積り、最終的にintrinsicな減衰を導出した。さらに、この減衰値に対して、多孔質弾性論(Biotの理論)を用いて理論的に減衰メカニズムを説明した。
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