研究概要 |
Joyce計量のツイスター空間について研究を行い、特別な場合にツイスター空間を具体的に構成した。 Joyceは1995年の論文で複素射影平面の連結和の上に自己双対計量でトーラスの作用をもつものを具体的に構成した。藤木明は2000年の論文で、ツイスター空間の構造を明らかにすることによりこのような計量はJoyce計量に限ることを証明した。しかし連結和の個数が4以上のとき、ツイスター空間の具体的な構成方法は知られていなかった。筆者は連結和の個数が4の場合に、すべてのJoyce計量のツイスター空間を具体的に構成した。証明はおおざっぱに次の2段階から成る。 1.トーリック曲面をファイバーとするP^1上のファイバー空間を具体的に作る(すなわち定義方程式を具体的に与える). 2.そのファイバー空間にブローアップとブローダウンを繰り返し施すことにより求めるツイスター空間を得る. 構成は天下り式であるが、実際にはツイスター空間の反標準系の解析に基づく。すなわち上記の1で与えられる代数多様体は、基本的にツイスター空間の反標準モデル(すなわち反標準系による有理写像の像)である。これが像の上へ双有理であり、それを通常のブローアップやブローダウンの合成として分解することにより上記の2の段階の構成を得る。 この結果をCIRM(Luminy, France)で2006年10月に行われた研究集会Geometrie des Varietes Complexes IIにて講演発表した。
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