群という代数的な構造と、図形としての構造を併せ持つリー群では、その代数的な構造を幾何的に考察するという興味深い研究課題が成り立つ。例えばユニタリ群のように行列を要素とする集合の群では、一般に積の順番を入れ替えると結果が変わってしまう(代数的性質 : 非可換性)が、このことは2つの行列AとBに対して、その交換子ABA^<-1>B^<-1>が単位行列にならないことを意味する。しかし個々の行列ではなく、2つの行列から交換子への写像として捉えると、この写像を連続的に変形して常に単位行列になるようにできるかという問題(位相幾何的性質 : ホモトピー可換性)になる。本研究では、ユニタリ群等について、このホモトピー可換性をさらに拡張したホモトピー巾零性について研究した。
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