研究概要 |
本研究では,当該年度,(1)秘密情報として埋め込む計算機ホログラムの最適化,(2)脆弱型となる計算機ホログラムの埋め込み方式の開発,を行った. 秘密情報として埋め込む計算機ホログラムの合成には,画質を最良ならしめるための最適化処理(シミュレーテッドアニーリングや遺伝的アルゴリズム)が用いられている.このため,誤差拡散法においても,入力物体の位置に関して一般性を持たせるために誤差拡散係数を最適化処理によって求める方法が用いられてきたが,合成のための処理時間が長くなるといった問題がある.このため,入力物体の位置が決まれば誤差拡散係数は一意的に求められるようにすることで,計算機ホログラムの合成にかかる時間を大幅に短くすることができることが,明らかになった. 計算機ホログラムを秘密情報として埋め込んだ場合,一般的にはロバスト型の電子透かしあるいはステガノグラフィとなることが知られている.これは,一般的には長所であるが,しばしば短所となる場合があり,脆弱型の電子透かしあるいはステガノグラフィとなる必要性がある場合もある.そこで,計算機ホログラムの合成過程におけるフーリエ変換を複素アダマール変換に置き換えた場合について考察した.その結果,脆弱型電子透かしの特徴であるStirmark攻撃耐性がことごこく弱い性質を見いだすことができた.
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