研究概要 |
本研究では、海洋調査機器の運用中に発生するケーブルキンクや素線乱れの原因となるケーブル回転現象のメカニズムを解明することを目的に理論解析を実施した。またトルクバランスケーブルの屋内特性試験や実海域特性計測を実施し、非回転ケーブルの開発に必要となる要因について検討した。 理論解析においては、微分幾何学やエネルギ理論など応用数学/力学の手法を適用したケーブル設計法の検討を行った。ケーブル内部は多層の管状曲面や螺旋軌道のストランドから構成されるため、微分幾何学を始めとした応用数学的な手法を適用することにより、ケーブル形状が変化した時のストランド軌道の計算を行った。この計算結果からケーブルを構成する各要素が捻れ現象にどのような影響を与えるかを定量的に評価した。また過去に行った深海調査用トルクバランスケーブルの実海域挙動計測結果との比較を行い、計算手法の妥当性また計算方法の改良点について検討した。 また実運用トルクバランスケーブルの特性計測を屋内試験機及び実海域において実施した。屋内試験においてはS字曲げ試験機を用いてサンプルケーブルを周期的に曲げ、端部の回転量とケーブル曲げ半径との関係を検討した。実海域計測では、水深1,000m海域でのケーブル降下/揚収時の下端部の回転昼を計測した。本試験では実施海域の制限からケーブル降下深度が浅く参考計測ではあるが、実海域計測の手法を確立することができた。 上記、理論解析及びケーブル特性試験の結果を国内/海外の計3学会において発表した。
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