1.要因モデルの構築 意思決定に関する先行研究の多くは、乳がんの初期治療である術式選択(乳房温存療法か乳房切除術)に関するものであった。治療選択に影響する要因としては、「再発の恐れ」「生存率」「治療方法の変化と治療成績に関すること」「治療の適応、利点・欠点に関すること」「年齢」「治療に伴うつらさ」「家族への気遣い」「周囲の人の勧めや体験」「価値観」、「がんの不確かさ」などが挙げられていた。 分析をすすめるうえで、モデルには各要因の独立性が保たれていることが重要であり、要因(評価基準)の数が多くなるにつれ、人間の判断の整合度は悪くなる。 これらを考慮して、がんの治療法を選択する際の意思決定の心理構造モデルの要因(評価基準)を、「再発の不安」「副作用のつらさ」「家族の意見」「医療者の意見」「経済的負担」の5つとした。「治療法選択」の課題における代替案は、「提示された治療法を選択する」「提示された治療を選択しない(経過観察)」とした。 2。アンケート調査票の作成 要因モデルを基に、一対比較による評価尺度を用いた調査票を作成した。7段階のリッカート法(左の項目がかなり重要、左の項目が重要、左の項目がやや重要、同等・・・右の項目がかなり重要)で求め、回答者は設問ごとに自分の考えに近いものを選択する。基礎情報として、がんの部位、年齢、治療経験を設問に加えた。 今後、調査票の妥当性を高めるために関係者に意見を求めて、問題があれば修正後、対象者に実施する予定である。
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