研究課題/領域番号 |
18H00643
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大槻 信 京都大学, 文学研究科, 教授 (60291994)
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研究分担者 |
木田 章義 京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (30131486)
大谷 雅夫 京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (80152172)
宇佐美 文理 京都大学, 文学研究科, 教授 (70232808)
緑川 英樹 京都大学, 文学研究科, 准教授 (30382245)
金光 桂子 京都大学, 文学研究科, 教授 (30326243)
蔦 清行 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 准教授 (20452477)
山中 延之 京都女子大学, 文学部, 講師 (00782591)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 抄物 / 中世後期 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、抄物を注釈として総合的に理解・活用することと、抄物の利用を促進することである。その目的を達成するため、①抄物の調査・撮影、情報収集と整理、ならびに、②多領域にまたがる研究者による研究会を行い、最終的には、③詳細な注解の作成とその公刊を目指す。 本年度は、抄物を多く所蔵する京都大学附属図書館および同文学研究科図書館の貴重書を中心に調査・撮影を行った。加えて、訓点資料・法談聞書の類を多く蔵する高山寺ならびに高野山大学図書館における調査・撮影を実施した。(以上、①) 黄山谷(黄庭堅)の詩集の抄物『黄氏口義』(建仁寺両足院蔵、二一巻・二二冊、林宗二筆、1560-1567年写)を主たる対象とする研究会を継続して開催した(年度内に11回開催、参加者20名程度)。研究会の一環として、外部の研究者を招き(青木博史氏・九州大学)、「抄物講演会」を開催し(2019年5月11日)、40名程度の参加者を集めた。(以上、②) 研究会の成果として、『黄氏口義』中の一篇「演雅」の翻刻と詳細な注解を雑誌に掲載した(『国語国文』、2019年5月号)。また、本研究会の入門としての機能を果たす「黄氏口義提要」の作成をすすめ、その整備・フィードバックの機会として、提要執筆担当者が概説する機会も設けた(2020年1月11日)。その後、完成した「黄氏口義提要」をクラウド上で研究会参加者に公開し共有している。加えて、研究分担者による論考「抄物研究の視点」(木田章義、『国語と国文学』、2019年5月号)も抄物研究を概説するものとなっている。(以上、③)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定通りに、調査や資料収集を進めており、撮影作業も行うことができた。研究会も、参加者を少しずつ増やしながら、順調に開催を続けている。抄物講演会も実施できた。加えて、一部分(「演雅」)であるが、『黄氏口義』の翻刻と詳細な注解を公刊できたこと、また、研究会への参加を促し、抄物の利用を促進するために重要な道具となる「黄氏口義提要」を完成できたことは大きな成果である。 全般的に、当初の計画をおおむね予定通りに実行することが出来たといえる。
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今後の研究の推進方策 |
原本調査、撮影、資料収集、研究会、入門書の作成など、継続的に行うべき活動が多い。それらを継続して着実に進めていきたい。次年度も京都大学内部の図書館調査を継続し、高山寺等でも調査を行う予定である。 ただし、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、図書館・寺院等での調査が制限される可能性がある。また、継続して行っている研究会も対面での開催が難しくなっている。研究会については、Zoom等を用いたwebミーティングの形も用いながら、継続して行う予定である。
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