研究課題/領域番号 |
18H00686
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
富盛 伸夫 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 名誉教授 (50122643)
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研究分担者 |
拝田 清 和洋女子大学, 人文学部, 教授 (00597718)
矢頭 典枝 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (10512379)
野元 裕樹 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (10589245)
峰岸 真琴 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20183965)
南 潤珍 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (30316830)
鈴木 玲子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (40282777)
降幡 正志 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (40323729)
根岸 雅史 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50189362)
藤森 弘子 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 教授 (50282778)
上田 広美 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60292992)
田原 洋樹 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (60331138)
岡野 賢二 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60376829)
齋藤 スニサー 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 教授 (60791671)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | CEFR / アジア諸語 / 言語類型 / 社会・文化的適切性 / 言語能力記述法 |
研究実績の概要 |
2019年度は、EUで進行しているCEFR 改訂の最新動向 (CEFR, Companion Volume, 2018) を踏まえ、アジア諸語の特性に対応した付記事項付きのCEFR能力評価項目(CEFR Descriptors with Asian Supplements )の原案を具体化した。この研究目標のため、研究代表者と研究分担者6名からなる統括班の指針の下で、次の3つの研究作業班からなる研究組織を活用した。 A班:EU主導のCEFRを再検証し、アジア諸語の言語・社会・文化的多様性に対応した柔軟な評価方法を提案するため、社会・文化的人間関係が反映した待遇機能・談話構成を含む適切な言語的応対能力(Sociolinguistic Appropriateness)を詳しく検証し、それを参照しつつ本研究独自の能力記述方法の試案作成に向けて活動した。 B班:CEFR 改訂版における複層的異文化間言語教育に関する記述に見られる最新動向を調査しつつ、アジア諸語圏の複層的言語使用の中で社会・文化的視点から言語学習者の複言語使用状況を考慮した動態的な言語能力測定方法を研究した。 C班:B班の課題研究の視点を日本の複言語学習の再検証作業に応用し、日本の言語教育に適用しうる複言語学習における能力記述方法の提案、および大学入試の外国語科目の改定案も研究素材に含めて研究した。 主な研究交流と成果発信では、本科研の主催で年間6回の国際講演会・国際ワークショップおよび研究会集会を開催したほか、海外での研究成果発表など国際的な交流に努めた。その研究経過と成果発表は、東京外国語大学語学研究所の公式Webサイトで協働科研のリンクで2020年3月に発信している。(http://www.tufs.ac.jp/common/fs/ilr/Asia_CEFR/index.html)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2019年度は、研究代表者を中心に統括班会議を随時開催して年間を通して研究組織を活性化することができた。その研究経過と2年間の成果発表としての中間報告書は、東京外国語大学語学研究所内のリンクで公開している。(http://www.tufs.ac.jp/common/fs/ilr/Asia_CEFR/index.html) 研究上の特記事項としては、アジア諸語の特性、特に言語・社会・文化的多様性に対応した付記事項付きのCEFR能力評価項目(CEFR Descriptors with Asian Supplements )の具体化に向けて分担者および研究協力者に対してアンケート調査を行なった上で、分担者の研究教授するアジア諸語について上記のCEFR能力評価項目の試案を作成したことである。中でも社会・文化的人間関係が反映した待遇機能・談話構成を含む適切な言語的応対能力(Sociolinguistic Appropriateness)の記述方法の試案作成に向けて活動した。 新たな試みとしては、CEFRではほとんど扱われていないポライトネス理論の言語教育への応用研究と、比較対象としてエジプトにおけるアラビア語文化圏の特質を研究したことと、CEFR 2018版でMediation の一つとして取り上げられている手話コミュニケーションを対象に新たな研究対象を拡げたことである。 国際的研究交流と成果発信では、2019年度はフィリピンからの講師による国際講演会、マレーシア、オーストラリアからの招聘講師による「言語教育(CEFR)国際ワークショップ」を開催するなど、本科研の主催で年間6回の国際講演会・国際ワークショップおよび研究会集会を開催し研究成果の交流に努めた。海外での成果発表は、2019年8月に東北師範大学(中国・長春)、および2019年12月にシンガポール国立大学で成果発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクト期間の最終年度となる2020年度は昨年度までの研究成果を継承し、統括班の企画・調整のもと以下の担当分野が協働しつつ研究活動を行う。 A班:EUの均質的な土壌に生まれ適応環境に制約のあるCEFRおよびその受容のあり方を批判的に検証し、それとは異なる東南アジア諸語の言語・社会・文化的多様性に注目することにより、より適切に運用しうる柔軟な評価方法を提案する。特に、異文化間言語コミュニケーション能力(「社会・文化的適切性」対応能力)の記述モデルの具体化に向けて、研究対象のアジア諸語に付記事項(Asian Supplements)付きの言語コミュニケーション能力評価記述項目(descriptors)を組み込んだCEFRのアジア諸語対応版の開発を目指す。 B班:EUの2018年に公開されたCEFR 改訂版(Companion Volume)におけるMediation能力と複層的異文化間言語教育に関する新たな改編の動向を踏まえ、東南アジア地域の複文化環境にある言語学習者の複言語使用状況に配慮した言語コミュニケーション能力測定の方法論的研究を行う。加えて、本年度はMediationの一つとしての手話コミュニケーションについて複文化内でのコミュニケーション能力測定の方法論も研究する。 C班:B班の課題研究の視点を日本の複言語学習の再検証作業に応用し、中等教育・高等教育および社会的ニーズに対応した複数言語の能力到達度評価法の改善に向けて成果を発信する。本年度は国内外のCEFR-J研究者などと連携しつつ、日本の言語教育政策および中等教育や生涯教育との接続も視野に入れ、担当者が各自の領域で成果発信を行う。 研究統括班は上記3つの研究作業班の円滑な課題遂行を把握・管理し、国内外への成果発信の企画・調整を行うために研究代表者が長として総括的責任を持つ。
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備考 |
上記のサイトは、東京外国語大学語学研究所の協働プロジェクトとしてアップロードされている。
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