研究課題
本科研の成果として、『宗教組織の人類学:宗教はいかに世界を想像/創造しているか』(法藏館、2023年3月)を刊行した。私たちの生きる世界はどのように想像/創造されているのか。本書ではこの問題を、アジア・アフリカ地域の様々な「宗教組織」を事例として、民族誌的に検討した。人類学者のグレーバーは、革命の前提として想像力の重要性を説いたマルクスの議論を踏まえ、私たちの生活を生きがいのある、意味あるものにするために、想像力が実用的で不可欠な役割を果たしていることを強調している。想像上の世界は、ある種の潜在的な力として私たちの行為を意味づけ導く。それによって実際のヒト・モノ・言説の関係を変容させる。つまり世界を創造(組織化)していく。言いかえれば、世界の想像なくして世界の創造はありえないということである。本書では、このように私たちが理想の生き方や世界を想像/創造する上で、「宗教」――私たちが何のために、どのように生きるべきか、他者(モノやカネも含む)とどのように関わるべきかという規範を提示する言説――が極めて重要な役割を果たしていることに注目した。そして仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、そして本書で「西洋近代教」と呼ぶものを事例として、それがどのような世界を想像/創造しているかを民族誌的な描写を通じて明らかにした。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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人類学研究所研究論集
巻: 12 ページ: 111-126
立教大学観光学部紀要
巻: 24 ページ: 40-59
日本民俗学
巻: 306 ページ: 103-112