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2018 年度 実績報告書

米国による同盟の戦略的調整に関する比較歴史研究:脅威認識・安心供与・コスト負担

研究課題

研究課題/領域番号 18H00823
研究機関一橋大学

研究代表者

青野 利彦  一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (40507993)

研究分担者 倉科 一希  広島市立大学, 国際学部, 准教授 (00404856)
中島 琢磨  龍谷大学, 法学部, 教授 (20380660)
妹尾 哲志  専修大学, 法学部, 教授 (50580776)
水本 義彦  獨協大学, 外国語学部, 准教授 (60434065)
森 聡  法政大学, 法学部, 教授 (60466729)
小野澤 透  京都大学, 文学研究科, 教授 (90271832)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード同盟 / アメリカ外交 / 日米関係 / NATO / 米・中東関係
研究実績の概要

今年度は2回の研究会(2018年11月および2019年3月:いずれも東京の一橋大学千代田キャンパスにて)を開催し、次の3つの作業を行った。(1)本研究が分析対象とする時期(朝鮮戦争前後、ヴェトナム戦争前後、冷戦終結前後)におけるアメリカの同盟関係に関する先行研究の収集と分析、(2)アメリカの同盟関係を地域比較するための分析視角および分析概念の精緻化、(3)ヴェトナム戦争前後のアメリカの同盟関係の展開について、分析対象となる欧州・アジア・中東の諸地域間の共通点と相違点、また諸地域間の同盟政治の展開の連関性を示す事例を抽出し、その力学の全体的な展開に関するイメージを作成した。これらの作業はすべて、各メンバーが個別報告を行ったのちにメンバー間で議論を行い、各人の知見を共有する形で進めてきた。(1)については、重要な先行業績のリストを、メンバー間で作成・共有したのち、先行諸研究の間での共通点と論争点、また、新しい資料の開示状況などに照らして、先行研究では未解明の論点などを洗い出すことができた。(2)については、比較研究における参照基準となる「脅威認識」「コスト負担」「安心供与」という3つの概念について、歴史的事実に照らして、どのように操作化するのか、またどういった歴史事象が適切な分析事例となり得るのか、といった点について議論し、メンバー間での見解のすりあわせを行った。また(3)についてはヴェトナム戦争前後の時期について、より大きな国際関係史の展開と、ヨーロッパ・アジア・中東におけるアメリカと同盟国の関係をどのように関連付けるのか、について全体像を形成するための議論を行い、一定のイメージをメンバー間で共有することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は本研究課題の初年度であり、2年目以降の史料館調査や、それによって収集された第一次史料を分析するための、予備作業として位置づけられる。その予備作業として重要なのは、(A)本課題に関連する先行研究の研究動向および、それがはらむ課題の把握、(B)一次史料を分析する際の手がかりとなる分析概念と分析視角の精緻化、およびメンバー間での共有が必要となる。また、最終的な研究成果をまとめ上げていくためには、(C)分析対象となる時期および地域におけるアメリカの同盟関係の力学に関する全体像のイメージを作り上げなければならない。

本年度は、(A)および(B)については概ね達成でき、(C)については、3つの分析対象時期のうちの1つ(ヴェトナム戦争期)について、ある程度進捗させることができた。また、これらを通じて、3つの分析対象時期全体を分析するための視角を精緻化していくことも可能となった。

今後の研究の推進方策

本研究課題の2年目となる2019年度は、次の課題に取り組んでいく。(1)ヴェトナム戦争期における同盟関係の力学イメージの完成(2)実証分析の素材となる一次史料収集のための文書館調査。
(1)については、メンバーの個別報告をベースとした議論を国内で研究会を開催することで実施し、(2)については各メンバーが米英その他、必要に応じて海外の公文書館での史料調査を実施することで進めていく。なお、(1)が終了した後は、同様の作業を朝鮮戦争前後、冷戦終結前後の時期に関しても開始し、研究成果を出版するための構想へとつなげていく予定である。
青野利彦(代表:米国の軍事戦略); 森聡(米国の国防戦略・議会); 倉科一希(米=NATO 関係); 妹尾哲志(米独関係); 中島琢磨(日米関係); 水本義彦(米=東南アジア関係); 小野澤透(米=中東諸国関係)

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (8件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 「連載「灰色の領域」第6回 山田久就・元外務事務次官(下)~米国の核の傘と非核三原則の交差点」2019

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 雑誌名

      『アジア時報』

      巻: 2019年3月号 ページ: 33~36

  • [雑誌論文] 「書評 菅英輝著『冷戦と「アメリカの世紀」:アジアにおける非公式帝国の秩序形成』」2018

    • 著者名/発表者名
      青野利彦
    • 雑誌名

      『国際政治』

      巻: 194号 ページ: 157~160

  • [雑誌論文] 「国際政治における対話の困難と可能性」2018

    • 著者名/発表者名
      妹尾哲志
    • 雑誌名

      『専修大学法学研究所所報』

      巻: 57 ページ: 98~107

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] “U.S. Defense Innovation and Artificial Intelligence”2018

    • 著者名/発表者名
      Mori, Satoru
    • 雑誌名

      Asia Pacific Review

      巻: 25(2) ページ: 16~44

  • [雑誌論文] 「連載「灰色の領域」第1回 取材記録公開~米国の核の傘と非核三原則の交差点」2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 雑誌名

      『アジア時報』

      巻: 2018年7・8月号 ページ: 10~17

  • [雑誌論文] 「連載「灰色の領域」第2回 藤山愛一郎~米国の核の傘と非核三原則の交差点」2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 雑誌名

      『アジア時報』

      巻: 2018年9月号 ページ: 60~64

  • [雑誌論文] 「連載「灰色の領域」第3回 飛鳥田一雄~米国の核の傘と非核三原則の交差点」2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 雑誌名

      『アジア時報』

      巻: 2018年10月号 ページ: 34~37

  • [雑誌論文] 「連載「灰色の領域」第4回 高橋通敏外務省元条約局長~米国の核の傘と非核三原則の交差点)」2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 雑誌名

      『アジア時報』

      巻: 2018年12月号 ページ: 43~48

  • [学会発表] 4.“The U.S. Perspective on the Indo-Pacific and Japan-U.S. Relations,”2019

    • 著者名/発表者名
      Mori, Satoru
    • 学会等名
      王立防衛・安全保障研究所(RUSI)
    • 招待講演
  • [学会発表] 「米国の国防イノベーションの現在」2018

    • 著者名/発表者名
      森聡
    • 学会等名
      外務省
    • 招待講演
  • [学会発表] 「競争戦略における対称的アプローチと非対称的アプローチ」2018

    • 著者名/発表者名
      森聡
    • 学会等名
      世界平和研究所
  • [学会発表] “U.S. Domestic Politics and its Implications and Prospects,”2018

    • 著者名/発表者名
      Mori, Satoru
    • 学会等名
      日・インドネシア国交樹立60周年記念シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 7.“Opportunities and Challenges in the Indo-Pacific: A Japanese Perspective on Great Power Dynamics,”2018

    • 著者名/発表者名
      Mori, Satoru
    • 学会等名
      国際問題・対外政策研究所(INCIPE)
  • [学会発表] 「書評報告①:菅英輝『冷戦と「アメリカの世紀」――アジアにおける「非公式帝国」の秩序形成』(岩波書店、2016年)」2018

    • 著者名/発表者名
      水本義彦
    • 学会等名
      日本アメリカ学会
  • [学会発表] 「書評報告②:菅英輝『冷戦と「アメリカの世紀」――アジアにおける「非公式帝国」の秩序形成』(岩波書店、2016年)」2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 学会等名
      日本アメリカ学会
  • [学会発表] 「楠田たちが描いたビジョンとその展開――戦後観への着目」2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 学会等名
      楠田資料研究会
  • [学会発表] 「戦後の日本は主権を回復したか――日米安保と沖縄を中心に」2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 学会等名
      主権研究会(『年報政治学』)
  • [学会発表] 東西緊張緩和とNATO-西ドイツの視点から2018

    • 著者名/発表者名
      妹尾哲志
    • 学会等名
      国際安全保障学会
  • [図書] 『パワーから読み解くグローバル・ガバナンス論 第3章 同盟』(青野利彦)2018

    • 著者名/発表者名
      山田敦編、大芝亮、秋山信将、大林一広、青野利彦、千葉大奈、金ゼンマ、松村尚子、井上睦、柳始賢、古内洋平
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      978-4-641-18438-1
  • [図書] 『アメリカ太平洋軍の研究-インド・太平洋の安全保障 第9章 統合作戦構想と太平洋軍-マルチ・ドメイン・バトル構想の開発と導入』(森聡)2018

    • 著者名/発表者名
      土屋大洋編、森聡、デニー・ロイ、梶原みずほ、中村進、西野純也、小谷哲男、田中靖人
    • 総ページ数
      220
    • 出版者
      千倉書房
    • ISBN
      978-4-8051-1142-0

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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