研究課題/領域番号 |
18H00867
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
常木 淳 日本大学, 経済学部, 教授 (10207425)
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研究分担者 |
安念 潤司 中央大学, 法務研究科, 教授 (00125981)
阿部 武司 国士舘大学, 政経学部, 教授 (10151101)
有馬 学 九州大学, 韓国研究センター, 学術共同研究員 (80108612)
藤田 友敬 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (80209064)
岡崎 哲二 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (90183029)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 近代日本史 / 政治思想 / 社会規範 / 法制度 / 経済発展 |
研究実績の概要 |
昨年度は、[構築・展開段階]の初年度にあたり、代表者を中心として、(1)先端的研究動向の把握の継続、(2)研究目的に沿った、具体的な研究論文執筆の方向性の確立、(3)共同討議による相互的な研究内容の彫琢を推進した。 オンライン上でのメンバー全員での研究会合を年度中2回持って、問題意識の共有を図るとともに、メンバーの部分的な会議を繰り返し行い、研究成果の内容充実に努めた。これらの会合を通じて共同研究者それぞれが現在の問題意識と既存の研究成果内容を約・発表し、それらを改善するためのコメントやディスカッションを行うとともに、共同での研究促進のための方向性に関して議論を行った。(4) 以上の討議の成果を踏まえて、各自が所属する国内・外の研究会・セミナーや学会での研究成果の個別的発表を行ったが、先端的研究の把握のために、海外の研究者との交流を図るという課題は、コロナ禍に伴う環境変化によって海外渡航が不可能となり不完全になった。しかし、その分の資金を戦略的にオンライン会議と学会発表の開催のために使用することで、有効に活用することができた。 研究代表者は、本年度は、本共同研究における最も重要なキーワードとなるナショナリズムに焦点を据えて、近代日本におけるナショナリズムの発展の分析を集中的に行った。特に本年度は、近代日本文学という一見したところ、経済社会と無関係な対象を選択して、夏目漱石、坂口安吾という二人の文学者が見た日露戦争、および太平洋戦争後の日本社会の在り方と日本人の社会的な規範意識の変化に対する批判的な考察をもとにしつつ、日本人の社会や国家意識の変動とその基底に存在する不変性について考察することを通じて、間接的に日本近代の社会規範や政治経済構造の変化と連続性という問題を厳密に摘出することを試みる論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、[構築・展開段階]の初年度としては、研究計画の進展はおおむね順調と評価してかまわないものと思われる。上で示したように研究会合が全体で2回、部分的なメンバー間において復数回もたれたため、メンバー相互の問題意識の共有、学問的な蓄積の共有化が着実に進み、今後の研究の方向性はより具体化されたと見ることができる。海外研究者との交流が予定通りに進行しなかったことは、予定外の計画進行阻害の要因となったが、それらについても、国内でのオンライン環境を活用した研究推進へと研究戦略を修正することによって、多くの研究成果をあげることができた。 昨年までのところ、研究の全体的な方向性として、近代日本における戦前・戦後での企業文化の変化とその基底となる経済的な規範意識の変化、それらを包摂する政治・経済・社会イデオロギーの歴史的変遷に焦点を当てた研究が研究会メンバーにおいて活発にすすめられた。日本経済史、経営史、政治史ならびに日本史に関する基礎理論など、それぞれの専門分野に応じた活発な研究が進み、国内外の学術誌等への研究発表が着実に行われるとともに、関連する国内外での研究発表もアクティヴに進められた。以上の理由から、研究進捗の状況に関して区分(2)と判断するものである。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は[構築・展開段階]の最終年度であるため、前年度に引き続いて代表者を中心として(1)文献・資料の収集・分析による学問的蓄積の共有化、 (2)参加者による研究状況の把握、 (3)考察すべき論点の析出を進めたい。研究責任者を中心とする研究会合をオンライン上で6月に開催し、メンバーそれぞれが自らの研究を発表して相互の研究進捗状況を把握し、今後進めるべき研究の方向性を確認するとともに、それらを改善するために相互のコメントやディスカッションを行いたい。前年度は、全体討論の機会を参加者の都合から全体会議を2回しか持てなかったが、今年はより多くの全体会議の開催機会を確保に努めるとともに、メンバーによる部分的なミーティングをより積極的に推進して、共同研究の構築・展開の作業の完成に資するものとする。 また、コロナ禍にかかわる環境の改善が認められた場合、先端的研究の把握のために、アメリカ、ヨーロッパにおける関連する研究の現状を調査し、国際学会への参加を通じて海外の研究者との活発な交流を推進してゆき、これらの作業を最終年度の総合・完成段階における共同研究と個別の研究論文や著作執筆による具体的成果の創出へと深化させてゆきたい
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