研究課題/領域番号 |
18H00904
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 忠彦 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40400626)
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研究分担者 |
西尾 チヅル 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80241769)
領家 美奈 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (10303348)
伴 正隆 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (50507754)
石垣 司 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (20469597)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 選択行動 / ベイジアンモデリング / 感性評価 / 尺度開発 / マーケティング |
研究実績の概要 |
本年度は,POSデータやID付きPOSデータの活用を中心に,基本的にベイジアンモデリングの枠組みによる計量的な研究を実施した.一つ目は,閾値モデルによる非線形効果の評価,消費者の構造異質性評価を実現するためのモデルの提案と実証分析を実施した.二つ目は,購買行動に関するビッグデータから効果的な顧客×商品×マーケティング施策の組合せを発見するための超多数のパラメータをもつ消費者行動モデルを開発した.ここでは,スーパーマーケットの購買履歴データを利用し,顧客数約1600人,商品数500,3種類のマーケティング変数に対して約2,400,000パラメータ(反応係数)の推定を行った.その結果,各顧客,各商品に効果的なマーケティング施策を抽出することができた.また,超多数のパラメータを持つ深層学習モデルを応用した高精度のマルチドメイン推薦システムの開発も行った.3つ目は,新製品のトライアルとブランドスイッチ,さらに購買間隔のモデルをそれぞれを組み合わせ,消費者異質性を考慮した新製品販売予測モデルを構築した.4つ目は,消費者の行動メカニズムを理解するため,消費者の感性の製品の総合評価への影響を分析した.評価対象物として嗜好性が高い九谷焼珈琲カップとし,得られた感性評価データを分析した.完成評価の構造異質性を解析するモデルの提案を行い,パラメータ推定した結果,各総合評価における消費者の選好とその際重要視される感性語の関係データを得ることができ,「消費者の個人差」と「消費者の感性がその選択行動に与える影響」を観察することができた.5つ目は,消費者の価値観およびライフスタイルに関する先行研究をレビューし,尺度の開発と予備的な調査を実施した.いずれの成果も,本研究の課題の主たる目的である,消費者の選択行動の解明に資する成果となっており,研究は順調に進展しているものと判断している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の成果として,学術論文10件(海外誌4件,全て査読付き),学会発表等14件(国際学会3件)を実施している.また,来年度に向けた研究の方針も,本年度の成果を踏まえ構築できている.そのため,本研究プロジェクトはおおむね順調に進められている,と考えている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では一貫してベイジアンモデリング技術を採用する.STEP0では,消費者選択行動原理に関する理論的な再検証を進める.STEP1は,多数の研究事例がある一変量の選択モデルの再検討を進める.第1フェーズでは,特に「限定合理的選択行動」や「後悔最小化原理」等の仮定の下でのモデル開発を進める.第2フェーズでは,第1フェーズの知見を前提とし,「動的選択行動のモデル化」へも踏み込む.第3フェーズは,小規模態度データ(アンケートにより取得)と大規模行動データ(小売,WEB)を用いて第1フェーズと第2フェーズで構築したモデルを実証し,選択行動理論へのフィードバックを試みる.STEP2では,マーケティング・サイエンス領域で研究が少ない(超)多変量型選択モデルを検討する.本STEPで検討を進める事項には「超高次元の分散-共分散の推定」「超多数のパラメータの推定アルゴリズム」といった技術的な側面の困難が存在し,統計技術を格段に進展させない限り,消費者の選択行動理解につなげられない.第1フェーズでは,「高次元分散共分散行列のモデル化」「(超)多変量多項選択現象のモデル化」を中心に研究を進める.第2フェーズでは,第1フェーズの知見を踏まえ,「動的高次元分散共分散行列のモデル化」「動的(超)多変量選択行動のモデル化」「ビッグデータ対応型推定アルゴリズム」を開発する.第3フェーズでは,大規模行動データ(小売,WEB)を用いて本STEPで構築したモデルを実証し,選択行動理論へのフィードバックを試みる.STEP2の課題は,既存の枠組みを適用できず,野心的かつ多面的な試みが求められる.本年度は,STEP1のモデル開発と実証分析を継続的に進めるとともに,STEP2のモデル開発に着手する予定である.
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