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2020 年度 実績報告書

学習者の表出動作から心的状態を推定し集計・フィードバックするシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18H01059
研究機関放送大学

研究代表者

加藤 浩  放送大学, 教養学部, 教授 (80332146)

研究分担者 寺田 努  神戸大学, 工学研究科, 教授 (70324861)
葛岡 英明  東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (10241796)
鈴木 栄幸  茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (20323199)
久保田 善彦  玉川大学, 教育学研究科, 教授 (90432103)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード教育工学 / 教育評価 / HCI / ウェアラブルコンピューティング / 協調学習 / 生体情報
研究実績の概要

これまで、頭部に装着したモーションセンサーから得た頭部の動き(加速度)やまばたきなどの情報を用いて、学習者の心的状態の表出を自動的に検出し、ポジティブ/ネガティブ/ニュートラルの3種類に分類するシステムを目指して研究を行ってきた.そのためにセンサーの出力値から心的状態を機械学習することを試みたが、学習データの教師信号、すなわち、心的状態の正解ラベルの生成に困難があった.学習者の自己申告による方法、動画像から表情を分析して自動的に判定する方法、前記の表情分析結果を用いて人が正解ラベリングを行うのを補助するシステムを開発して用いる方法などを模索してきたが、最終的に、状況内評価を完全に自動認識するという目標を達成するのは非常に困難であると判断した.
そこで、コロナ禍によって対面の実験が大きく制限されるという事情もあり、遠隔リアルタイム教育の場面に対象を絞り、受講者の表出がどのような影響を自分自身や他者に与えるかを明らかにするという方向に軌道修正を行った.具体的には遠隔リアルタイム授業において、他の学習者映像がある場合とない場合、そして通常の対面授業の3条件において学習者の集中度・覚醒度が時間的にどう変化するかを調査する実験を実施した.集中度・覚醒度の推定には、心拍より得られるpNN50という指標を用いた.その結果、対面授業が最も集中度・覚醒度が高く、次いで他の学習者映像がある場合、最も低いのが他の学習者映像がない場合であった.これより、他者の存在感や自分が他者に見られる可能性が受講態度に影響することが示唆された.さらに、うなずきという行為と行為者の集中度・覚醒度の上昇に相関関係が見られた.これより、うなずきに、従来想定していた話者に対するリアクションとして話者の行為を評価(状況内評価)することの他に、自身の集中度・覚醒度を上昇させるためという機能もあるのではないかという仮説を得た.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍のために対面で実施する実験が大きく制限され、研究方針の変更が余儀なくされた.

今後の研究の推進方策

今年度、リアルタイムの遠隔授業を対象にして、学習者の表出の機能解明に焦点を絞った研究に軌道修正を行い、様々な条件でうなずき等の表出の出現頻度や心拍情報から得られる集中度・覚醒度の変化を調査したところ、うなずきという行為と行為者の集中度・覚醒度の上昇に相関関係が見られた.これより、うなずきには、自身の集中度・覚醒度を上昇させるという機能もあるのではないかという仮説を得た.
そこで、来年度は、遠隔授業の実験を重ねることによって、うなずきと受講者の集中度・覚醒度との関係をより詳細に解明する.それによって、学習者が遠隔授業に集中し、学習効果をあげられるようなデバイス/システムを検討する.

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 「太陽の動きとかげ」の理解を支援するソフトウエアの開発と評価2021

    • 著者名/発表者名
      久保田 善彦、松岡 浩平、葛岡 英明、鈴木 由美子、鈴木 栄幸、加藤 浩
    • 雑誌名

      日本教育工学会論文誌

      巻: 44 ページ: 105-108

    • DOI

      10.15077/jjet.S44062

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 説明活動を効果的に行うための概念地図の構成の工夫2020

    • 著者名/発表者名
      永嶌 政宏、久保田 善彦
    • 雑誌名

      日本教育工学会論文誌

      巻: 44 ページ: 85-93

    • DOI

      10.15077/jjet.43088

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 理科におけるプログラミング教育とカリキュラム・マネージメント―「制御」の視点からの再考―2020

    • 著者名/発表者名
      久保田善彦
    • 雑誌名

      理科の教育

      巻: 811 ページ: 5-8

  • [雑誌論文] 一人1台端末時代のICT教育-活用形態から教師のあり方を検討する-2020

    • 著者名/発表者名
      久保田善彦
    • 雑誌名

      群馬大学教育実践年報

      巻: 9 ページ: 27-31

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 自分の分身をイメージする-二つの理論を実装したARアプリによる月の満ち欠けの理解-2020

    • 著者名/発表者名
      久保田善彦
    • 雑誌名

      理科の教育

      巻: 821 ページ: 46-47

  • [雑誌論文] Imaginary Body Movement and Support for Learning about the Waxing and Waning of the Moon2020

    • 著者名/発表者名
      KUBOTA Yoshihiko、NAKANO Hiroyuki、KOMATSU Yuki
    • 雑誌名

      Journal of Research in Science Education

      巻: 60 ページ: 557-568

    • DOI

      10.11639/sjst.19039

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 遠隔教育における独習を支援するバーチャル自習室の開発と評価2020

    • 著者名/発表者名
      原田 織子、加藤 浩
    • 雑誌名

      日本教育工学会論文誌

      巻: 43 ページ: 53-56

    • DOI

      10.15077/jjet.S43037

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Society5.0を支えるSTEAM/STREAM教育の推進に向けた小学校教育課程の教科等構成の在り方と学習指導形態2020

    • 著者名/発表者名
      山崎貞登 松田孝 二宮裕之 久保田善彦 磯部征尊 川原田康文 大森康正 上野朝大
    • 雑誌名

      上越教育大学研究紀要

      巻: 39(2) ページ: 525-538

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Introducing Mutual-Help Rules Based on the Idea of "Bi-Directional Debt" Into a Project Learning Activity: Enhancing the Formation of Social Capital In Classrooms2020

    • 著者名/発表者名
      Hideyuki Suzuki, Hideo Funaoi, Yoshihiko Kubota, Hiroshi Kato
    • 学会等名
      14th International Conference of the Learning Sciences (ICLS) 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] 遠隔授業改善に向けたセンサデータに基づく対面授業と遠隔リアルタイム授業の比較調査2020

    • 著者名/発表者名
      角田幸太郎, 大西鮎美, 寺田 努, 加藤 浩, 葛岡英明, 久保田善彦, 鈴木栄幸, 塚本昌彦
    • 学会等名
      ユビキタス・ウェアラブルワークショップ2020論文集
  • [学会発表] 小規模小学校の理科に関する社会関係的資本:社会ネットワーク分析から2020

    • 著者名/発表者名
      久保田善彦
    • 学会等名
      日本理科教育学
  • [学会発表] 小規模小学校の理科指導に関する情報交換のネットワーク―教科および生徒指導との比較から―2020

    • 著者名/発表者名
      久保田善彦
    • 学会等名
      日本科学教育学会
  • [学会発表] VR空間におけるセルフペース学習の継続支援: 空間内の他者が与える影響の検証2020

    • 著者名/発表者名
      今田 昇吾,林田 尚子,葛岡 英明,鈴木 健嗣,大木 美加
    • 学会等名
      情報処理学会インタラクション2020

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公開日: 2023-12-25  

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