大規模な相互協力を達成可能なのは人類のみである。しかし、人間のいかなる本質がそれに寄与しているのかは、人文学から生物学までの幅広い領域において多数の研究がなされてきたにもかかわらず、未だ明らかではない。本研究は、現在有力な理論仮説の一つであるとされている強い互恵性に焦点を当て、その妥当性を検討した。この仮説は、協力行動、罰行動、偏狭さ、そして外集団攻撃行動との間には極めて強い連動が存在すると主張する。本研究では、これらの行動間の関連を実験室及びオンライン実験により検討し、協力行動はそれ以外の三種類の行動のどれとも強い関連がないことを明らかにした。これは、強い互恵性仮説に対する反証となる。
|