研究課題/領域番号 |
18H01905
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
山下 将嗣 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 上級研究員 (10360661)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高強度テラヘルツ光 / トポロジー / ディラック電子系 / 高次高調波発生 |
研究実績の概要 |
本研究では、高強度円偏光テラヘルツ光を用いたディラック電子系のトポロジー制御技術の開発を目的としている。高強度円偏光をディラック電子系に照射することにより、ディラック点においてエネルギーギャップが生成され、ベリー曲率が誘起されることから、光誘起ホール効果の発現など量子物性制御技術への応用が期待されている。この円偏光照射影響は電場強度(E)ではなくベクトルポテンシャル(E/ω)に打ち合わせ依存することから、可視光よりも周波数の低いテラヘルツ光を用いた場合、低電場強度で巨大な効果が得られる可能性がある。一方で、共鳴・低周波領域の振舞いは理論的にも十分理解が進んでいないため、実験的に明らかにする必要がある。 本年度は、高強度円偏光テラヘルツ光照射光学系と中赤外光励起による高次高調波発生光学系を組合わせて実験系の構築を行った。円偏光照射よるグラフェンディラック電子系のトポロジーが変化し、発生させた高次高調波スペクトルが変化することを確認した。さらに、円偏光の強度や波長を変化させ、発生した高次高調波の偏光スペクトルを詳細に測定した。ディラック近似と光誘起ベリー曲率効果を考慮して、グラフェンからの高次高調波偏光スペクトルを計算し、観測した実験結果との比較を行った。その結果、高強度THz光によって誘起された非平衡光キャリア分布がテラヘルツ光によるディラック電子系のトポロジー制御に影響を及ぼすことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に進んでいる
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今後の研究の推進方策 |
今後は、グラフェンゲートデバイス試料に用い、ゲート電圧によってフェルミエネルギーを制御することにより、フェルミエネルギー依存性を測定する。フェルミエネルギーをディラック点に制御することとにより、電子相関効果が大きくなることが知られており、非自明な光誘起トポロジー相における電子相関効果を実験的に検証する。。
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