研究課題/領域番号 |
18H02723
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
山中 智行 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (00381575)
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研究分担者 |
貫名 信行 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (10134595)
岩田 淳 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40401038)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 神経変性疾患 / ハンチントン病 / クロマチン免疫沈降 / 次世代シーケンス解析 |
研究実績の概要 |
ハンチントン病等のポリグルタミン病は、唯一核内に病因タンパク質の重合体(核内封入体)が形成される神経変性疾患である。神経細胞核内の機能異常がその疾患進行に関わっていると考えられ、実際、数千もの遺伝子が発現変化することが見出されている。これまでに、我々を含めた研究グループから、NF-Yなどいくつかの転写調節因子がハンチンチン封入体に取り込まれ、活性阻害されることが報告されている(Yamanaka T et al. EMBO J 2008, Hum Mol Genet 2010、PLoS ONE 2014 etc)。これらの結果は遺伝子発現異常による神経変性機構を一部説明するものであるが、これまで同定された約20個の転写調節因子では多大な遺伝子発現変化は説明できていない。すなわち、よりダイナミックな核内変化が存在すると予想される。本研究では、ハンチントン病の核内封入体を指標に変性神経細胞の細胞核を単離する方法を確立し、世界で初めて最新ゲノム技術を用いた変性神経細胞での包括的クロマチン構造解析を行うことにより、神経変性に関わる新規病態メカニズムを明らかにする。本年度は、ハンチントン病モデルマウス脳からセルソーターにて単離した神経細胞核を用いて、抗修飾ヒストン抗体でクロマチン免疫沈降、及び次世代シーケンス解析を行った。その結果、神経関連遺伝子などのプロモータ領域が選択的に濃縮されていることが確認され、実験系は確立されつつある。一方、ハンチンチン凝集体に結合する転写因子NF-Yについて、マウスを用いて、その中枢神経系におけるさらなる機能解析を行い、日本細胞生物学会にて口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単離した神経細胞核を用いたクロマチン免疫沈降-次世代シーケンス解析(ChIP-seq)ができるようになってきており、現在ハンチントン病モデルマウスでも同様の解析を進めている。ただ、抗体によっては得られるゲノムDNA量が解析に不十分であり、より効率的な実験系を模索している。
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今後の研究の推進方策 |
実験系の調整を進め、より効率的なクロマチン免疫沈降法を確立する。これを用いて、ハンチントン病モデルマウスでクロマチンChIP-seqを行い、NF-Yなどの疾患関連因子や修飾ヒストンのゲノムDNA結合領域を網羅的に特定する。さらに、3C法などを用いてクロマチンの構造変化を検討する。
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備考 |
同志社大学大学院脳科学研究科 https://brainscience.doshisha.ac.jp/
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