研究課題
基盤研究(B)
トロンボモジュリン(TM)は主に血管内皮細胞に発現して血液凝固を負に制御する糖蛋白で複数の領域から構成されている。TMの細胞外領域を遺伝子組み換え技術を用いて作製したrecombinant TM(rTM)は播種性血管内凝固の治療薬として日本で臨床使用されている。われわれはrTMに血管内皮保護作用があることに気付きその作用機序と活性部位を明らかにする研究に着手した。その結果、TMの上皮細胞増殖因子様領域の19アミノ酸構造に血管新生作用と細胞保護作用があることを見出すことに成功した。
血液内科学
造血細胞移植は白血病をはじめ難治性血液がんに根治をもたらし得る画期的な治療法であるが、血管内皮細胞障害に起因する血栓性微小血管症や肝類洞閉塞症候群などによる非再発死亡が多く、その治療成績は未だ満足できるものではない。今回我々が見出した19アミノ酸を使用することで血管内皮細胞障害に起因する移植関連合併症を予防でき、移植成績の向上が期待できる。