本課題では、まず初めにグリオーマ幹細胞特異的脆弱性としてミトコンドリア呼吸鎖に着目して検討を行なったところ、ミトコンドリアDNA(mtDNA)にコードされる呼吸鎖構成タンパクの発現が選択的にグリオーマ幹細胞で高まっていること、さらにはグリオーマ幹細胞の生存が呼吸鎖依存的に維持されていることが明らかとなった。そこですでに臨床で用いられている既承認薬の中でミトコンドリア呼吸鎖機能阻害活性が期待できる薬剤のスクリーニングを行った結果、加齢黄斑変性治療薬であるverteporfinが、正常細胞や分化グリオーマ細胞には低毒性の条件下で、グリオーマ幹細胞に高度な細胞死を誘導することを見出した。
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