先駆的癌性EMTマーカー分子の機能解析と口腔癌由来循環内腫瘍細胞の検出への応用

2021 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 18H02969
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分57020:病態系口腔科学関連
• 研究機関: 山梨大学
• 研究代表者: 齋藤 正夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90345041)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: EMT / TGF-β / がん

研究成果の概要

がんの悪性度を促進する分子としてSnailとZEB1/2が知られ、悪性度の高い癌細胞は両分子の発現が高進している。本研究では、Etsファミリーの分子群が、巧みにSnailとZEB1/2を同時に発現調節することを明らかにした。そこで、現在もEts分子群を先駆的癌性EMTマーカー分子として位置づけるとともに、循環内腫瘍細胞における役割に検討を行っている。

自由記述の分野

がん細胞生物

研究成果の学術的意義や社会的意義

がん細胞は周囲の間質内に浸潤し、脈管内に侵入し、転移巣を形成する。この過程にEMTという現象が深く関与していることがわかっており、EMT転写因子によって制御されている。そこで本研究ではEMT転写因子の発現制御機構を検討し、Etsファミリー分子群が正と負に調節していることを見いだした。Ets1とEts2はEMTを促進する作用を、ESE1とESE3は抑制する作用を持っていた。したがって、原発巣でこれらの分子群の発現を検討することで、遠隔転移や循環内腫瘍細胞になりうる細胞を診断でき、悪性度をより詳細に評価できる点が学術的にまた社会的にも意義が高いところである。