研究課題
基盤研究(B)
トシリズマブ投与下での放射線照射は、ヌードマウスに移植したOSCC細胞やPDXモデルを用いた動物実験において、放射線の効果を増強し、有害事象である皮膚炎を減少させた。効果増強と有害事象減少の効果は、Nrf2抗酸化経路の活性制御による抗酸化力の減弱とIL-6発現の低下の影響によるものと考えられた。トシリズマブ投与下での放射線治療は、OSCC患者に対する効果的な新規治療法として臨床応用が大いに期待される。
口腔癌の治療抵抗性
OSCCに対するトシリズマブ併用の放射線療法の開発は世界発の試みである。トシリズマブは安全性や体内動態が確認された既存薬であり、ドラッグリポジショニングで臨床応用を図ることは、新薬の開発と比べてコスト面で大きな利点となる。放射線治療時にトシリズマブを同時に投与することにより、放射線の抗腫瘍効果を増強し、口腔粘膜炎や皮膚炎を軽くできることから、本研究結果は学術的・社会的に大きな意義を有する。