研究課題/領域番号 |
18H03041
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
吉田 成一 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (40360060)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | PM2.5 / 胎仔期曝露 / 出生仔 / 造精機能 / 有機化学物質 |
研究実績の概要 |
平成30年度、粒子本体(加熱粒子:H-PM2.5)と生物由来成分の胎仔期曝露による影響評価を行ったが、出生仔への健康影響(雄性生殖機能および免疫機能への影響)は大気中のPM2.5と比較すると小さいものであった。平成31年度(令和元年度)は、H-PM2.5と大気中のPM2.5に付着している有機化学物質 (OC)の複合曝露を妊娠マウスに行い、次世代の雄性生殖系および免疫系への影響を検討した。 ICR系妊娠マウスを対照群とH-PM2.5曝露群、H-PM2.5+OC曝露群に分け、H-PM2.5曝露群には、1匹あたり200μgのH-PM2.5、H-PM2.5+OC曝露群には1匹あたり200μgのH-PM2.5とOCを妊娠7、14日目に気管内投与した。出生仔マウスが5および15週齢の時点における免疫系、雄性生殖系への影響を検討した。なお、15週齢における免疫系への影響は、卵白アルブミン(OVA)を用い気管支喘息病態モデルを作成し、アレルギー増悪作用についても検討を行った。 H-PM2.5曝露とH-PM2.5曝露+OCの胎児期複合曝露による出生仔造精機能を検討したところ5週齢及び15週齢のH-PM2.5+OC群においてそれぞれ49.8%、32.5%有意に低下した。H-PM2.5曝露とH-PM2.5曝露+OCの胎児期複合曝露による免疫系への影響を検討したところ15週齢の気管支喘息病態モデルにおいてH-PM2.5+OVA曝露群及びH-PM2.5+OC+OVA複合曝露群はOVA群と比較してそれぞれ2.13倍、2.96倍有意に増加した。OVA曝露群と比較して15週齢のH-PM2.5+OC+OVA群のマクロファージ、好中球、好酸球、リンパ球はそれぞれ有意に増加した。 以上の結果より、H-PM2.5とOCの胎児期複合曝露は次世代の雄性生殖系および免疫系への影響の寄与因子であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、PM2.5と生物由来成分 (LPS)あるいは有機化学物質 (OC)の複合曝露を行い、PM2.5+LPSでは大気中のPM2.5により生じた影響より弱い影響しか認められなかったが、PM2.5+OCの複合曝露により、大気中のPM2.5の胎仔期曝露による出生仔への影響と同程度の影響が認められ、PM2.5の胎仔期曝露による影響寄与因子として粒子本体と有機化学物質の複合曝露であることを見いだした。
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今後の研究の推進方策 |
PM2.5と有機化学物質の複合曝露により出生仔に生じた影響の発生メカニズムの解明を行う。
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