研究課題/領域番号 |
18H03170
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
丸山 敦夫 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80117548)
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研究分担者 |
山代 幸哉 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 准教授 (20570782)
濱田 雅 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40708054)
塗木 淳夫 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 准教授 (50336319)
佐藤 大輔 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (60544393)
衛藤 誠二 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (70295244)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経可塑性 / 運動学習 / 手指把持筋力調整 / TMS |
研究実績の概要 |
2018年度の実験計画は、手指筋の親指と人差し指(FDI筋およびAPB筋)による把持筋力調整の学習と脚下腿部底屈背屈筋(前脛骨筋:TAおよび腓腹筋:GM)の筋力調整の学習を実施する予定であった。 実験開始時期が3ヶ月遅れたため、筋力追従目標指標に合わせた手指筋の筋力調整の運動学習実験だけを実施した。神経可塑性を評価する測定項目は、運動誘発電位(motor evoked potential ; MEP)のMEP AP-LM潜時差異 (variability)および運動野皮質内抑制性および興奮性(SICIおよびSICF)である。 手指筋のMEP AP-LM潜時個人差異variabilityは、TMS8字コイルの三電流方向を用いてMEPAP、MEPPAおよびMEPLMの各潜時を測定しMEPAPからびMEPLMを引いて求めた。SICIおよびSICFの測定は、手指筋の至適ポイントにTMSコイルをPA方向で設置した。刺激条件は刺激間隔時間SICI3ms、SICF1.5ms、条件刺激強度は80%AMT、テスト刺激強度は約1mVを誘発する強度とした。筋力調整学習の練習時間、強度およびトレ ーニング期間条件は80秒間×6セット(セット間休憩3分)、sine波形による5%~30%MVC強弱筋力調整強度、一日30分5日間の練習期間とした。個人差の評価は追従調整目標値から実際の発揮筋力値を引いた絶対誤差とした。 年度内の手指筋力調整の実験結果、被験者14名まで測定できた。初日一日目と最終日五日目の学習前後にMEP AP-LM潜時個人差異variability とSICIおよびSICFを測定した。1日目と5日目の学習前後共にMEPAP-LM潜時(ms)とSICIの変化率(%)の間、SICIの変化率(%)と筋力調整誤差(N・80sec/N/9.8・kgf)との間に、共に有意な相関関係が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年7月、運動学習予備実験を実施したところ、当初の予想に反し、被験者の拘束時間の長さから一日で実施できる被験者数が少なく、実験手順の再検討を行うと共に被験者数を再検討する必要が生じた。実験手順の工夫で速やかに実施することができたが、当初計画していた研究目的に沿って修正した再予備実験、被験者との時間再調整、追加募集を行った。それらの作業に3ヶ月を要したため、運動学習実験実施以降のスケジュールが遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
本実験はトレーニング実験で起こる個人差や変化率の変動幅に注目しているため、20名以上の被験者数が必要となってくる。そのため、前年度に続き、前半期(5月~10月)には、新潟医療福祉大学で被験者の募集、手指筋での筋力調整の運動学習と神経可塑性評価の追加実験を行う予定である。得られた結果を基に、国内外の学会で成果を公表する予定である。 後半期に(11月~3月)には鹿児島大学リハビリテーション医学講座での実験準備し、下肢部の前脛骨筋、腓腹筋の足底筋群筋力調整の学習実験を行う。さらに、大脳運動野での上肢手指部位と脚下腿部位において、TMS刺激で誘発されるD波およびI波のMEP潜時の差異(MEP AP-LM潜時)が両部位間でどのような関係があるか、また、その運動野の異なる部位において運動学習による神経可塑性の変化反応sensitivityの違いには興味深い。そこで、二つの実験の結果を受け、さらに同じ人の上肢と下肢の運動野部位の神経シナプスのMEP AP-LM潜時variabilityの追加実験も行う予定である。
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